タクシー乗り場=東京都千代田区で2019年4月15日、曽根田和久撮影

 一般ドライバーが自家用車を使って有償で客を運ぶ「日本版ライドシェア」の効果を議論する政府の規制改革推進会議の作業部会が29日開かれ、河野太郎規制改革担当相が「タクシーが実際には空車にもかかわらず迎車中と表示し、アプリでの配車依頼にすぐに対応できるようにしてマッチング率を引き上げようとする動きがあると聞く」と指摘した。事実であれば、道路運送法に違反する恐れがあり、河野氏は「見せかけのマッチング率を作るものだ」と非難した。

 河野氏のあいさつを事務方が代読した。国内のライドシェアはタクシーの不足分を補うという位置づけで、タクシー配車アプリのマッチング率は利用状況を測る重要な指標となる。ライドシェア運営主体の拡大を避けたいタクシー会社にとって、マッチング率が高ければ住民の「移動の足」が十分確保できているといえる材料になる。

 河野氏の指摘を受け、作業部会の委員からは「(迎車中にするよう運転手は)タクシー会社から指示されていると聞いている」などの意見が出た。

 タクシー会社を所管する国土交通省の幹部は作業部会で「一般的にアプリ配車は迎車料金をとり、ドライバーの実入りが増える。流しや駅での乗り場を避けてアプリにいっているのだと思う」と指摘。空車にもかかわらず迎車表示を掲げることは「道路運送法上も問題」との見解を示した。

 一方、現在は駅や空港などの施設に、ライドシェアドライバーが配車できないケースがある。国交省は「(施設によって運用が)まちまちになっている」とし、ガイドラインを作成して対応する方針を示した。

 政府は6月に閣議決定した規制改革実施計画で、タクシー会社以外も参入できる新法の議論を直ちに開始するとしており、作業部会委員から選抜した準備会合を非公開で開催することも決まった。河野氏は「必要となった時に速やかに次のステップに移行できるよう、(新法の)論点整理をしていただきたい」と述べた。【古屋敷尚子】

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