(ブルームバーグ):米株式市場では大型ハイテク銘柄からの大規模ローテーションが起きており、ナスダック100指数は過去2週間余りで8%下落した。調整局面入りが避けられるかどうかは、時価総額が合計で約10兆ドル(約1540兆円)に上るハイテク4社の決算次第となりそうだ。

今週は30-31日に米連邦公開市場委員会(FOMC)会合が行われるが、投資家の注目は30日引け後のマイクロソフト決算発表にも集まる。31日にはメタ・プラットフォームズ、8月1日にはアップルとアマゾン・ドット・コムがそれぞれ決算発表を行う。

2024年前半に大手ハイテク企業の株価は大幅に上昇し、バリュエーションが高水準となっているだけに、株価下落のリスクはすでに高まっている。先週のアルファベット決算発表後には、人工知能(AI)関連への支出が短期的な利益に照らすと過剰になっているとの懸念が高まった。

ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「今回の決算発表は本当に重要だ」と指摘。「予想を超えられなかった場合、AIは期待されていたような成果を生み出していないと解釈されることになる」と語った。

米株式市場では足元、ここ数年で最も急速かつ急激なローテーションが起きている。ハイテク銘柄の比重が高いナスダック100指数は時価総額2兆6000億ドルが吹き飛んだ一方、これまで長く出遅れていた中小型株やディフェンシブ銘柄を物色する動きが目立つ。

こうしたローテーションは6月の米消費者物価指数(CPI)がきっかけだった。同統計でインフレの広範な鈍化が示されたのを受け、米金融当局が早ければ9月にも利下げに動くとの観測が強まった。それ以降、中小型株で構成されるラッセル2000指数は10%上昇した。

市場では、ハイテク大手やナスダック100指数が下落した場合にプロテクションを提供するオプションの購入が増えている。恐怖指数として知られるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は4月以来の高水準となった。

最初に試されるのはマイクロソフトだ。同社はソフトウエア製品群にAIサービスを統合し、データセンターの能力を増強するために多額の資金を投じてきた。1-3月(第3四半期)決算では設備投資額は110億ドルだった。この数字は、4-6月には130億ドルを超えると予想されている。

メタとアマゾンも多額の投資を行っており、投資家はAIが実際に業績に与えている影響度合いを探ろうとするだろう。

アップルの株価は4月の安値から30%余り上昇している。同社がAIサービスを「iPhone」に組み込む計画に対する楽観が背景にある。投資家は決算と同時に発表される追加情報にも注目するとみられる。

センター・アセット・マネジメントのジェームズ・アベート最高投資責任者(CIO)は「AIへの多額の投資は回収が当分先送りとなるか、当初考えられていたより利益を生まないとの懸念が強まっている。それが半導体チェーン全体とAI関連銘柄全般に波及している」と語った。

特に人気が高かった銘柄の一部では売りが強まっている。AIブームの先頭を走ってきた半導体エヌビディアの株価は6月18日に付けた過去最高値から17%下落。データセンターで使用されるサーバーを製造するデル・テクノロジーズは5月の高値から37%下落。競合のスーパー・マイクロ・コンピューターは3月以降で株価が40%下がった。

S&P500種株価指数は上期に14%上昇したが、その大半はテクノロジー大手6社の株価上昇によるものだ。バリュエーションは切り上がっており、S&P500情報技術指数の予想PERは今月に入り、2002年以来の高水準を記録した。

アベート氏は「大型ハイテク株は完璧なシナリオが想定されている上で相場上昇の大半を担ってきた。それがこのグループの脆弱(ぜいじゃく)さを際立たせている」と述べた。

原題:Big Tech Earnings Arrive With Nasdaq 100 on Brink of Correction(抜粋)

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