固形せっけんの市場規模が縮小している。経済産業省の統計によると、浴用固形せっけんの販売量は1991年に11万2000トンを記録したが、2023年は3万2000トンと3分の1以下に落ち込んだ。かつては全身に使われていたが、シャンプーやボディーソープなどが台頭し、使用頻度が低下したためという。
大手の牛乳石鹼(せっけん)共進社(大阪市)は、主力の「赤箱」の再ブランド化に取り組んでいる。成分や「釜焚き」の製法は変えずに、20代女性をメインターゲットに置いたプロモーションを18年秋から実施。初回は京町家風の店舗で約10日間、せっけんの泡立て体験などを通してアピールしたところ、想定の17倍超の約1万2000人を集めた。
赤箱の売り上げは一時、91年度の約3割まで落ち込んだが、こうしたPR活動もあって現在は9割近くまで回復したという。マーケティング部の藤松源課長代理(42)は「固形せっけんを知らない若い人たちに使ってもらうきっかけになった」と話す。赤箱の販売から100周年を迎える28年に向けて、さらに発信力を高めていくという。
花王(東京都)も主力のせっけん「ホワイト」の販売に注力している。約30年前は香りや模様など複数種類を扱ったというが、原点回帰で今やこの商品のみ。「泡立ちの良さや使用時の安心感など、変わらないこだわりの品質の高さをPRしていく」と話している。【新宮達】
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