(ブルームバーグ): 米テスラの4-6月(第2四半期)決算発表前、投資家は同社の電気自動車(EV)事業が安定し、目を見張るような自動運転車が間近に迫っていることを示唆するようなヒントを求めていた。結局、そのどちらも得られなかった。

  結果的に大きな失望を招き、テスラの株価は24日に12%下落した。複数のアナリストが目標株価を下方修正し、少なくとも3人が投資判断も引き下げた。

  投資家の信頼感を高めるどころか、テスラの四半期決算はまたしても利益がウォール街のアナリスト予想を下回った。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)はテスラが自律走行車のリーダーになる方法について、従来と変わらない説明を繰り返した。一方で事前に報道されていた通り、自動運転タクシー「ロボタクシー」の発表を当初予定より2カ月遅れの10月に延期したことも明らかにした。

  バークレイズのアナリスト、ダン・レビー氏は「投資家はテスラの第2四半期決算に総じて困惑し、確信も持てなかった」と指摘。「決算発表から得られた重要な点は、当面の焦点がファンダメンタルズに戻ったということだ」と語った。

  テスラ株は4月の安値から7月初旬の直近高値まで約85%の上昇を演じた。その背景には、大手ハイテク各社が人工知能(AI)の飛躍的進歩から恩恵を受けるだろうという幅広い楽観があった。アナリストの業績予想は切り下がっていたにもかかわらず、同期間の株価上昇でテスラの時価総額は3800億ドル(約58兆5000億円)余り膨張。こうした不協和音は、4-6月決算でさらに浮き彫りとなった。

  ジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏は「現実との乖離(かいり)は何が起きてもおかしくないことを意味する」と指摘。「決算を受けてテスラ株が売られたのは理解できるが、決算前になぜ株価がこの水準にあったのか理解するのは難しい」と述べた。

  マスク氏は自動運転車を将来の柱に据えているが、ロボタクシーが実用化されるまで、キャッシュフローを生み出し続けるには中核事業であるEV事業からのサポートが不可欠というのが多くのアナリストの見方だ。

  しかし、4-6月決算は、需要低迷で苦戦を強いられているEV事業に対する懸念を払拭するには至らなかった。投資家の注目指標である自動車部門の粗利益率は(規制クレジット除く)は4-6月期は14.6%で、1-3月期の16.4%から低下した。

  カウエンのアナリスト、ジェフ・オズボーン氏は「AIを巡る過去数週間のハイプサイクルを踏まえると、株価は下がると見込まれる。AIの進歩について新しいニュースは何もなかった」と語った。

  キャンターフィッツジェラルド、CFRA、ニュー・ストリート・リサーチの3社はテスラ株の投資判断を引き下げた。

  アナリストはテスラ株にとって最大の課題は、株価を押し上げるだけの強力な材料が短期的に不足していることだと指摘。テスラの予想株価収益率(PER)は約80倍と、他の超大型ハイテク銘柄を大幅に上回る水準となっている。

  10月のロボタクシー発表さえ、一部アナリストの間では懐疑的に見られている。

  サンフォード・C・バーンスタインのアナリスト、トニ・サコナギ氏は「10月の発表は実質的な内容というより、むしろ願望に近いものになるかもしれない」とリポートに記した。  

原題:Tesla Rally Gives Way to Rout as Analysts Sour on the Stock (抜粋)

(株価を終値で更新します)

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