厚生労働省が入る中央合同庁舎第5号館=東京・霞が関で、竹内紀臣撮影

 2024年度の最低賃金(時給)について、中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は24日、50円(5%)引き上げるとする目安を決めた。各都道府県が目安額通りに引き上げると、全国加重平均の時給は1054円となり、現在の1004円を大きく上回る。

 昨年に続き、賃金と物価が大きく上昇する中で今年の審議は始まった。労使ともに引き上げは既定路線だったが、焦点は引き上げ額だった。

 具体的な金額の議論が始まったのは、18日の3回目審議。連合は最大67円の引き上げを要望していたが、使用者側は大幅アップには慎重な姿勢を示していた。

 双方の折り合いをつけるため、審議は物価の精査に焦点を当てた。審議終盤では、電気やガスの料金や生活必需品の値動きも確かめ「昨年より、全体的に数字が上がっている」との見解で一致。過去最高の引き上げ額として「50円」という目安額を導いた。

 今後は都道府県ごとにある審議会で、目安額を基に最低賃金額を決定する議論が始まる。昨年は人手不足への危機感から隣県への人材流出を懸念する声が高まり、佐賀県で目安よりも8円上乗せするなど、異例の展開がみられた。最終的に中央最低賃金審議会が示した目安額より2円高い1004円まで上がった。今年も人手不足の状況は変わらず、地方の審議の動向が注目される。【奥山はるな】

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