唐津市でとれる赤ウニの話題。希少価値が高く幻のウニと呼ばれていますが、海の環境の悪化で近年は天然物が激減しています。そんな中、地元の海士たちが赤ウニの“養殖”に挑戦。販路拡大を目指し奮闘しています。
唐津市京町の日本料理店。
この時期の人気メニューの1つが、地元で獲れた天然の赤ウニを使ったコース料理です。
【お客さん】
「めちゃくちゃ甘くておいしいです。味が濃い、とってもおいしいです」
「北海道出身なのでバフンウニとムラサキウニしか食べたことない。初めて食べました。濃厚でおいしいです」
【川島さん】
「唐津の赤ウニはすごくうまみと甘みがあって奥行きがあるんですよ。だから1度食べるとこの赤ウニを使わずにいられないというか」
赤ウニは主に佐賀や長崎に生息していて、唐津では、6月から9月ごろに水揚げされます。
ほとんどが地元で消費され、首都圏までなかなか流通しないことから幻のウニと呼ばれていて、食通のあいだでは一度食べたら忘れられないと人気。
去年は板ウニの状態で約8千枚出荷しました。
しかし、近年は天然の赤ウニが激減しているといいます。
【紅ウニ部会会長 坂本弘さん】
「天然の赤ウニが、年々、中の身入りが悪くなって、正直なところ天然の赤ウニがもういないんです。今年なんかほとんど天然が獲れないような状態になってしまったんです」
そこで立ち上がったのが、唐津市屋形石の海士グループ。
8人でおととし赤ウニの養殖をスタートさせました。
【坂本さん】
「これじゃだめだということで、養殖してなんとか幻の赤ウニを続けられたらいいんじゃないかと思ってやっています」
赤ウニの稚貝を約1年半かけて大きくし、この夏、初の出荷の時期を迎えました。
【坂本さん】
「これが大体もう少ししたら出荷用になるサイズの。これで1年半くらいかかってここまで大きくなっています。これよりもう少し大きくなったものを出荷しています。これは来年9月くらいに出荷できるように稚魚(稚貝)を今から新しいカゴに分けてそれから海の中へつけておきます。ずっと餌をあげて大きく育てていく」
定置網漁業の網を利用して、海中に約500個のカゴを吊るし、そのカゴの中でウニを育てます。
【坂本さん】
「これはアスパラの茎です。赤ウニの餌になります。これで小さいうちは大きく育ててそれから海藻をあげます。みんなここら辺は半農半漁で午前中百姓をして昼から海に潜ってみたりしています。ですからアスパラを作っている人がいて、そのアスパラの切かすをエサにもらっています」
それぞれ、午前中は農業、午後は漁業と2つの仕事をこなすメンバーたち。
【坂本さん】
「大体、6時過ぎくらいから収穫を始めている。畑もあるから、畑を休ませないように。海だけだけだったら、海はしけのときもあるから、しけのときはなにもできないからこういう野菜作りでなんとかやっている」
天気によって漁に出ることができず、収入が安定しているとは言えない状況です。
【坂本さん】
「海だけではやっぱり厳しいところがあると思います。2つあって私たちはなんとかやっています。なんとか食べていけるくらい、そんな感じかな」
【坂本さん】
「ここは玄界灘、外海でしてちょっとしけだしたらものすごくしけるんですよ。だけどしけにもめげずに、内海よりも外海の荒波で育てたほうが、いい品物ができるんじゃないかなと思って試行錯誤して頑張っています。」
波が荒い場所で育ったウニは身が引き締まり、天然のウニに近い品質のものができるといいいます。
「これは出荷できる。そんなおいしい?うまいうまい。これもう出荷できるんじゃない。これはビール持ってこないといけない。これはもう出荷していいよ。この味なら雑味もなくていいんじゃないかな」
日本一の赤ウニを作ろうと、日々奮闘する8人。
そのおいしさをたくさんの人に知ってほしいと話します。
【坂本さん】
「もう全国的に有名になっておいしい赤ウニが時期になったら食べられるよと。それをこの小さな漁村から発信したいなと思っています」
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