夏本番を前に、熱中症のリスクに備える保険商品の加入が伸びている。保険料が安く、1日単位から手軽に申し込めるタイプもあり、広がりを見せている。
総務省消防庁によると、7月1~7日にかけて全国で9105人が熱中症の疑いで救急搬送され、19人の死亡が確認された。8~14日には全国で6194人が搬送され、5人の死亡を確認。7日には静岡市で今季初の40・0度を観測するなど、梅雨明け前から今年も全国各地で記録的な暑さとなった。
近年の猛暑を受け、住友生命保険の子会社、アイアル少額短期保険は2022年に業界で初めて熱中症に特化した「熱中症お見舞い金保険」を開発した。
スマートフォン決済アプリ「PayPay」内のミニアプリ「PayPayほけん」から加入できる。保険期間が1日単位で保険料100円から、または1カ月単位で200円からの2種類。4~10月の期間中、熱中症で点滴を受けた場合は1万円、2日以上入院した場合は3万円が支払われるなどといった補償内容だ。
加入件数は22年度が約6万3000件。23年度は約5万6000件だったが、24年度は7月16日時点で7万4000件超。9日には1日当たりで最多の1万2000万件近い申し込みがあったといい、担当者は「梅雨が明けて本格化する真夏のレジャーやフェスティバルなどに備える目的が多いようだ」と分析する。
今年は年代別では20~40代が伸び、70代以上も過去最高ペースで伸びている。約半数は子供や配偶者、親など家族のためで、部活動や運動会、ゴルフなどに備えたり、遠方に住む高齢の家族のために加入したりするケースも多いという。
住友生命は「熱中症は毎年多くの方々が影響を受ける深刻な社会課題。簡単な方法で、わかりやすく加入してもらうことを目指している」としている。
一方、今年6月にはNTTドコモと東京海上日動火災保険傘下のTokio Marine X少額短期保険が、熱中症保険に参入した。スマホ決済アプリ「d払い」から申し込める。保険期間は6~11月で、1日単位や1カ月単位。最も安いプランは保険料80円からで、点滴治療で5000円、入院費1万円が補償されるほか、救急搬送された場合も5000円の見舞金が出る。
ドコモは通信以外の金融決済サービスを拡大する戦略を掲げている。契約件数は非公表とした上で「想定を超える反響がある」という。【山下貴史】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。