国際通貨基金(IMF)は16日、最新の世界経済見通しを発表した。2024年の世界経済成長率を3・2%として、4月の前回見通しから据え置いた。日米を下方修正する一方、中国を上方修正した。
国・地域別では、米国は2・6%と前回から0・1ポイントの小幅な下方修正になった。堅調に推移してきた個人消費に陰りが見えてきたのが要因。人手不足に伴う労働市場の過熱が収まり、25年の成長率は1・9%に鈍化するとの見通しを示した。
日本の24年は0・7%と、前回から0・2ポイント下方修正した。自動車の大量生産に必要な型式指定の不正問題で、トヨタ自動車など多くのメーカーの生産が停止したのが原因。春闘の賃上げを背景に年後半から個人消費が底堅く推移するとみている。25年の成長率は1・0%に据え置いた。
一方、中国の24年の成長率は5・0%と前回から0・4ポイント上方修正した。不動産市況の落ち込みが深刻化していたが、好調な輸出が経済を大きく押し上げた。25年の見通しも4・5%と前回から0・4ポイント上方修正した。
欧州では、製造業の不振が続くドイツの24年を0・2%と前回から据え置いた。実質賃金の上昇に伴う個人消費の回復や、欧州中央銀行(ECB)の利下げに伴う投資増加などで、ユーロ圏全体の景気は「底打ちした」と評価した。
先進国の24年の物価上昇(インフレ)率は2・7%と前回から0・1ポイント上方修正した。サービス分野の価格高騰が想定より長引いているため。25年には2・1%に低下するとみているが、米中対立など世界的な貿易摩擦の激化で輸入物価が上昇するリスクを指摘。米大統領選など各国選挙の結果、保護主義的な経済政策が強まる恐れについても言及した。【ワシントン大久保渉】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。