米首都ワシントンで開かれたイベントで発言する米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長=AP

 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は15日、物価上昇(インフレ)率がFRBの目指す2%へ安定的に低下しているかどうかについて「先週を含む4~6月の指標で自信をいくぶん深めた」と述べた。「特定の会合についてシグナルを送るつもりはない」とくぎを刺したが、市場ではFRBが次々回の9月会合で利下げに踏み切るとの観測が強まった。

 首都ワシントンで開かれたイベントで発言した。

 米国の物価押し上げ要因となっていた雇用市場には「もはや過熱感はない」と説明。6月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予測を下回る前年同月比3・0%に鈍化するなど、4~6月の経済指標にインフレ抑制へ向けて一定の前進があったとの認識を示した。「2%まで下がるのを待つとすれば、それは待ち過ぎだ」とも述べ、利下げ時期が近づいていると示唆した。

 金融政策の決定に当たって「選挙や政治的なことは考慮しない」と明言。11月の大統領選が近づく9月会合で利下げすれば「現職のバイデン大統領を援護している」と批判されるリスクがあるが、「経済指標に基づいて決める」との姿勢を改めて強調した。

 FRBは2022年3月に始めた利上げを打ち止めにして、年内に利下げに踏み切る方針。利下げ開始の判断について、パウエル氏は「インフレ率が安定的に2%に向かうとの確信が必要」と繰り返し説明していた。【ワシントン大久保渉】

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