写真はイメージ=ゲッティ

 東京商工リサーチ前橋支店は、本人に代わって勤務先に仕事を辞める意思を伝える退職代行業者による連絡を群馬県内の大企業(資本金1億円以上)の3割近くが経験したとするアンケート結果を発表した。中小企業を含め約1割の企業が経験しており、同支店は「退職ルールもこれまでの『常識』が通じなくなっている」とコメントしている。

 調査は6月3~10日、インターネットで行い78社が回答した。退職代行は、企業を辞める際に本人に代わって退職届の郵送や企業側に退職の説明を行うサービス。退職願を出しても引き留められたり、会社とのトラブルを恐れて言い出せなかったりする20~30代を中心に利用が増えている。

 同支店によると、「2023年1月以降、退職代行業者を活用した従業員はあったか」という質問について、全体の10・3%が「あった」と回答。規模別では大企業の28・6%、中小企業は8・5%が経験していた。

 また「人材確保(新規採用・離職防止)に向け、どのような施策を行ったか」(複数回答)を尋ねたところ「賃上げをした」(79・7%)、「休暇日数を増やした」(31・1%)、「社内レクリエーションを実施した」(18・9%)、「施策は取っていない」(14・9%)の順だった。

 人手不足を背景に、企業が人材を選ぶ時代から労働者が企業を選ぶ時代へと変わりつつある。同支店は「SNS(ネット交流サービス)の急速な普及で容易に職場環境が比較できるようになった。少額で退職時のわずらわしさを省ける退職代行業者の登場で、退職のハードルは下がっている。転職や雇用の流動化を促す論調も根強く、企業の人材確保は新たな局面を迎えている」としている。【庄司哲也】

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