日本銀行本店=2020年1月9日、松倉佑輔撮影

 日銀は12日、地域の中堅・中小企業の賃上げ動向に関する報告書を公表した。業種や規模を問わず賃上げの動きに広がりが確認され、「昨年を上回る」や「(高水準だった)昨年並み」との声が多かった。賃上げ原資確保につながる販売価格の引き上げを実施・検討する企業の前向きな動きもみられているという。

 連合が3日公表した2024年春闘での平均賃上げ率は最終集計で5・10%で、33年ぶりに5%台の高水準となった。ただ、この数値は大企業中心で、労働組合の組織率が低い中堅・中小企業まで波及するかが本格的な賃上げの実現に向けた焦点になっている。

 そこで日銀は24年4~6月に本支店や事務所で地場企業などを対象に、ヒアリングを実施。担当部署に寄せられた1000社超の声を報告書としてまとめた。

 賃上げの実施企業からは「物価上昇を受けて、従業員の生活を守る観点から、今年度も前年度並みの4%程度の賃上げを実施」(建設・中小、松江支店)などの声が聞かれた。長引く物価高の影響を考慮し、生活給の改善が意識されている。

 また、人手不足を背景に「競合他社が積極的な賃上げに取り組むもとで、人材確保が日増しに難しくなっていることを踏まえ、今年度はベアを実施」(小売り・中小、鹿児島支店)といった企業もあった。【浅川大樹】

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