新年度が始まって半月が過ぎたが、新入社員の退職希望を企業側に伝える「退職代行」サービスに、早くも依頼が殺到している。

退職代行サービス「モームリ」を運営する「アルバトロス」(東京都大田区)によると、多くの企業で入社式が行われた4月1日から依頼が入り始め、18日までに計129人が同社に申し込みを行った。昨年は4月の1カ月間で新卒者の依頼は18人にとどまっており、今年は急増している。

1日だけでも4人から依頼があり、「入社前は身だしなみが自由との説明だったが、髪色が明るいとの理由で入社式に出られなかった」(美容関連、女性)など、事前に聞いた話と違うとの訴えが目立ったという。新卒者全体の主な退職理由では、「業務内容や雰囲気が合わない」(46%)が最も多い。以下、「事前説明と実態の乖離」(20%)▽「人間関係やパワハラなど」(14%)▽「精神的・肉体的な不調」(9%)-と続く。業種別ではサービス業が最多の28人で、医療関連や販売業など、体力的にハードな職種が目立った。

アルバトロスの谷本慎二社長は「退職代行サービスの認知が高まったことに加え、SNSの影響も大きいのではないか」と話す。新卒者がネット上で「仕事が大変」などと投稿すると、不特定多数から「辞めた方がいい」などの反応がすぐ集まり、他者との比較で職場環境に違和感を覚えやすい。谷本氏は「退職希望の新卒者は昔から一定数いたが、現代の方が転職を決意しやすい」と分析する。

モームリでは弁護士の監修を受け、24時間、LINEやメールで依頼を受け付け、電話やメールなどで会社との交渉を代行する。料金は依頼者が正社員、もしくは契約社員なら2万2000円、アルバイトは1万2000円。令和4年3月にサービスを開始し、これまで8300件を超える依頼をこなした。最近は、依頼のペースが急増しているという。

依頼者の6割は20~30代が占める。民法上、労働者は「退職届」を出せば2週間後、雇用契約が終了するが、最近の新入社員は学生時代が新型コロナウイルス禍と重なり、「コミュニケーション能力に乏しい部分も見られる」(谷本氏)という。(飯塚友子)

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