生理痛VR体験デバイス「ピリオノイド」を使って痛みを模擬体験するアサヒグループ食品の川原浩社長(右)=3月28日、東京都墨田区のアサヒグループ本社(池田美緒撮影)

女性の月経(生理)に対する理解を深めてもらおうと、東京都墨田区のアサヒグループホールディングス(HD)本社で、グループ全体の社内に向けた生理痛の疑似体験会が開かれた。男性役員や社員ら約100人が参加し、下腹部に電気的な刺激を与える専用の装置を使って特有の痛みを経験した。

生理前に感じる心身の不調を和らげる機能性表示食品などを扱う「アサヒグループ食品」の社員が発案。体験した同社の川原浩社長は、痛みの波に何度も前かがみになりながら、「想像よりはるかにつらい。経験したことのないしつこい痛みで、立っていられない」と顔をゆがめていた。

生理痛の痛みは、大阪大学発のベンチャー企業「大阪ヒートクール」(大阪府箕面市)が展開する疑似体験装置「ピリオノイド」を使って再現した。筋電気刺激(EMS)を発するパッドを下腹部に装着すると、1秒おきに3秒間ほど、下腹部が収縮するような痛みの波が体験できる。痛みの強度は3段階あり、ランダムに味わうことも可能だ。

川原社長は「生理の痛みや悩みを女性が周囲に打ち明けられない環境は、絶対にあってはならないと痛感した。男性も女性も互いを尊重し、理解し合える社会の仕組みを作っていかなければ」と力を込めた。

体験会は、グループ全体が令和3年から取り組む「DE&I(多様性・公平性・包括性)」推進活動の一環として開かれた。アサヒグループHDでは「生理痛は、感じ方にも表現の仕方にも個人差があり、女性同士でも分かりにくい。今後も男女それぞれの健康課題に着目したイベントを通じて互いの理解を深めていきたい」としている。

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