韓国サムスン電子は7月5日、第2・四半期の営業利益が前年同期の15倍以上に増加するとの見通しを示した。1月15日、ソウルで撮影(2024年 ロイター/Kim Hong-Ji)
韓国サムスン電子は5日、第2・四半期の営業利益が前年同期の15倍以上に増加するとの見通しを示した。人工知能(AI)ブームを背景に半導体価格が回復しており、比較対象の前年同期が低調だったこともあり、利益が押し上げられた。
営業利益は10兆4000億ウォン(75億4000万ドル)の見通し。2022年第3・四半期以来の高水準で、LSEGがまとめた市場予想の8兆8000億ウォンを上回った。前年同期は6700億ウォンだった。
売上高は23%増の74兆ウォンの見通し。
半導体部門の業績は2四半期連続で改善する見込み。22年半ばから23年末にかけて低迷していた半導体価格が上昇を続けていることが背景にある。
アナリストによると、AIチップセットに使用される広帯域メモリー(HBM)チップなどの高性能DRAMチップや、データセンターのサーバー向け、AI搭載端末向けチップの需要が爆発的に増加し半導体価格の上昇につながっている。
データ会社トレンドフォースによると、第2・四半期の半導体価格は、ハイテク機器に使用されるDRAMで前期比約13─18%、データストレージに使用されるNANDで15─20%上昇した。
ただ、半導体価格の上昇は第3・四半期に鈍化する可能性がある。消費者向け電子機器市場における旧式半導体(レガシーチップ)の需要が依然として低迷しているため、トレンドフォースは従来のDRAMとNANDの両方で5─10%の程度の値上がりを予測している。
ダオル・インベストメント・アンド・セキュリティーズのアナリスト、コ・ヨンミン氏は「今月末の決算発表ではサムスンのレガシーチップに関する見通しが注目される。これは半導体業界の回復が来年まで続くかどうかを探るヒントになる」と語った。
HBMやソリッドステートドライブ(SSD)などの高性能半導体に対するAI主導の需要は市場の他のセグメントを上回るとアナリストは予想している。ただ、サムスンは、エヌビディアなどの顧客への高性能HBMチップ供給で韓国の競合SKハイニックスに遅れをとっている。
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