(ブルームバーグ): 日本企業による外貨建て社債の発行が活発化している。米国の大統領選を控え、市場が不安定になる前に買収や成長戦略に充てる資金を確保する狙いがある。

  三井住友フィナンシャルグループは3日、5本立てで総額45億ドル(約7300億円)のドル建て債の発行条件を決めた。ブルームバーグ・データによると、2024年度の日本企業の外債発行額は3日時点で総額242億ドルと前年同期の3倍超に急増し、過去最高となった。NTTや武田薬品工業など事業会社を中心に14社が起債している。

  海外の社債市場は規模が大きく投資家層が多様なため、日本企業にとって大規模資金を安定的に調達するための重要なマーケットだ。日本企業の社債は希少性が高く、海外投資家にとっても分散投資につながる。起債が多い国内市場で供給過多による需給軟化懸念がくすぶる中、外貨建て債を活用した調達手段の多様化が広がっている。

  みずほ証券のクレジットアナリストの高井真輝氏は、企業の間で米大統領選などの「リスクが顕在化する前に前倒しで起債しておこう」という動きがあると指摘する。さらに、これまで財務規律を重んじながら投資してきた国内企業が海外投資を積極化していくという攻めの姿勢と、調達した資金を「円に替えた時の妙味」も外債発行を後押ししていると述べた。

More stories like this are available on bloomberg.com

©2024 Bloomberg L.P.

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。