渋沢栄一から贈られた直筆とされる書=松山市の伊予銀行本店で2024年7月3日午前10時17分、広瀬晃子撮影

 新紙幣が発行された3日、四国4県の金融機関でも、旧紙幣との交換を求める人々が相次いだ。愛媛県内外に約150店舗を展開する伊予銀行本店(松山市)では、新紙幣発行にちなみ、新1万円札の肖像となった実業家、渋沢栄一が同行に贈った直筆とされる書2点が報道陣に公開された。

 うち1点(縦約42センチ、横約126センチ)は、伊予銀行の前身で県内初の国立銀行「第二十九国立銀行」が開業した1878年、大蔵省(当時)の「租税正」だった渋沢が贈ったとされる。同行の設立に携わった旧宇和島藩主の伊達宗城は、同省で渋沢の上司だった縁があり、開業祝いとみられる。「人から信用を得ることが全ての基本である」という意味の「信為萬事本」と揮毫(きごう)されている。

 2点の書は現在、松山市内にある同行の研修所に掲示されており、新入行員が入社した際には、書の説明を受けるという。本店に勤務する近藤可菜さん(30)は、「入社時に関わりがあると聞いてすごく驚いた。新紙幣になって、すごく誇らしい気持ち」と話した。

 同行では多くの人に行き渡るようにするため、当面は交換枚数を制限するという。新紙幣に交換した市内の60代の女性は「この日を待ち望んで来店した。使わずに大切に保管しておきます」とうれしそうだった。【広瀬晃子】

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