7月3日に発行される新しいデザインの紙幣(日本銀行券)は、高度な偽造防止技術を採用したことで、製造コストは現行紙幣より重くなった。原料費の高騰などの物価高の影響も加わり、「お札の原価」は上がりつつある。
紙幣は国立印刷局で製造し、発行を担う日銀が製造費用を支払って引き取っている。日銀は各紙幣の1枚あたりの製造費は非公表とするが、公表されている1年間の製造費から推定することができる。
新紙幣のみを製造した2023年度の「銀行券製造費」は619億2509万円で、製造した枚数は計30億3000万枚だった。1枚あたりの原価は約20・4円だ。一方で現行紙幣のみを製造した21年度の製造費は542億9169万円で、製造枚数は計30億枚。1枚あたりの原価は約18・1円で、約13%(2・3円)上昇したと言える。
日銀の担当者は「3Dホログラムなど偽造防止のための新技術を取り入れたうえ、原材料などの価格高騰で製造費用が膨らんだ」と背景を説明する。24年度は新紙幣を計29億5000万枚(1万円札約18億枚、5000円札約2億枚、1000円札約9億枚)を製造する見込み。【杉山雄飛】
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