無料通信アプリ「LINE(ライン)」の個人情報流出問題を巡り、運営会社LINEヤフーは1日、総務省に再発防止に向けた報告書を提出した。IT大手ネイバーへの業務委託のうち、日本国内の事業については2025年末までに終了する。同省が求める資本関係の見直しについては、親会社に折半出資するソフトバンクとネイバーが協議しているが「両社は短期的な資本の移動には困難が伴うとの認識に至っている」とした。

 再発防止への具体策として、日本向けサービスの開発や企画関連の委託は25年末までに終える。ヤフーの新しい検索エンジンの開発も24年9月末までに協業を終え、電子商取引や広告は順次、内製化などの方法に切り替える。ネイバーのシステムの利用は、海外子会社を含めて26年3月末までに停止する。

 一方、海外事業を担う子会社では、台湾やタイでの広告販売など一部で委託を継続する。また、LINEヤフーのネットワークにアクセスできる委託先には、十分なセキュリティー対策を施したパソコンを貸与する追加措置を25年3月までに講じる。

 ネイバーの子会社では昨秋、サイバー攻撃を受けてLINE利用者や取引先の個人情報計約52万件が流出した。総務省は、LINEヤフーがシステムを委託するネイバーが、LINEヤフーの筆頭株主である中間持ち株会社Aホールディングス(AHD)に50%出資する実質的な親会社でもある関係を問題視。適切な監督が行き届かずセキュリティー上の弱点につながったとみて、3月と4月にLINEヤフーを行政指導し、資本関係を見直すよう迫っていた。

 これを踏まえ、同じくAHDに50%出資するソフトバンクは、ネイバーが保有するAHD株式の買い取りに向けてネイバーと交渉中。LINEヤフーは1日の報告書で、現時点で協議は結論には至っていないものの「両社とも協力的に対応しており、議論が進展するよう引き続き取り組む」と強調した。

 総務省は「実効性をよく精査したい」(幹部)としている。【藤渕志保、古屋敷尚子】

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