新しい砂川パークホテルの完成予想図。ホテルの奥にサービス付き高齢者向け住宅が一体的に整備される

 北海道砂川市で創業した化粧品製造販売「シロ」(本社・東京都、福永敬弘社長)がJR砂川駅前で計画する「砂川パークホテル」の改装の概要が判明した。シロが17日に市内で開いた住民説明会で明らかにした。内外装の一新に道産材を用いるほか、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を併設して移住者を呼び込むなどし、地域活性化に取り組むという。

 砂川パークホテルは1986年、結婚式や大規模な宴会ができる市内で唯一の宿泊施設としてオープン。長く地域で愛されてきた。だが、近年は経営が悪化。一方、シロは創業地ににぎわいを取り戻そうと、模索。地域住民と話し合いを進める中、ホテルを再建して地域活性化の柱にしようという機運が高まり、2022年に取得に動いた。

 明らかになった計画によると、ホテルは、道産材を使って内外装を一新して、吹き抜けをつくり、あえて大規模な宴会場を残す形で改装する方針。10~30%引きで商品が購入できるシロとして初めてとなるアウトレットショップや地場産品を販売するマルシェ、サウナ付きの温浴施設を設置する。

 また、現在は駐車場となっているエリアにサ高住10室を新築。国内外に店舗を展開するブランドの知名度の高さを生かし、道内外からの移住に期待する。入居者がホテルの施設やサービスを利用でき、地域住民と交流する場としても整備する。ホテルは今秋の着工で、27年1月の完成を目指す。先行して整備するサ高住をホテルとして活用し、改装による休業期間の短縮を図る。

 シロは23年4月、市内の旧江陽小学校跡地に複合施設「みんなの工場」をオープンした。化粧品などが製造される様子を間近で見られる自社工場で、ショップやキッズスペース、カフェを併設。年に約30万人が訪れる人気施設となっている。今回のホテルの改装によって、ものづくり、観光、移住・定住を組み合わせ、地域活性化の相乗効果を狙う。

 福永社長は「化粧品とホテルは業種が異なるが、皆さんに喜んでもらうことをする点で共通する」と地域貢献に意欲をみせる。説明会に出席した飯沢明彦市長は「市民の期待は大きく、駅前の魅力になる」と歓迎した。【横田信行】

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