バブル崩壊後の日本では、経済の閉塞(へいそく)感を打破し産業活力を取り戻すため、中小企業の創業、新事業の創出が重要な政策課題とされました。近年は、ベンチャー企業・スタートアップ支援は成長戦略の柱に位置付けられています。

 沖縄公庫では1995年度以降、新規事業支援を業務運営の重点事項とし、融資や出資を通して事業者の創業や新分野への挑戦を後押ししています。また将来の起業家を増やすことを目的に、ビジネスアイデアの発想を学ぶ授業を学校で実施するなど起業教育を推進しています。

 昨年は県立高校、沖縄尚学高校・中学校、那覇市立小・中学校などで授業を実施しました。私の息子も授業を受けた生徒の一人で、課題として創業計画書を作成していました。事業コンセプトはビーガン(完全菜食主義者)も楽しめるラーメン店。余白には客層、同業者との差別化、食材の調達先など一生懸命考えた跡が残っていました。

 「難しくて起業を学ぶには年齢的に早いよ」と息子。親としては、物事が絶えず変動し、複雑で不確実な現代においては、このような機会を重ねることで、「自ら学び、考え、課題を見つける力」「課題を解決するための論理的な思考力」「他者と協働しながら課題を解決する力」が備わることを期待しています。

 沖縄公庫が後援する「高校生ビジネスプラン・グランプリ」(主催・日本政策金融公庫)が今年も開催されます。

 高校生や高専生のビジネスプランを競う全国規模の大会で、「人々の生活や世の中の仕組みをより良いものに変えるビジネスプラン」「地域の課題や環境問題などの社会的な課題を解決するビジネスプラン」を対象とし、エントリー(9月25日期限)前には公庫職員がプラン作成をサポートします。

 若者ならではの自由な発想や想像力は新たな価値を生み出し、地域経済の振興や活性化につながります。読者の皆さまの身近に高校生がいましたら、ぜひご案内ください。

(沖縄振興開発金融公庫調査部金融経済調査課長)

次回は中曽根直子氏(浮島ガーデン店主)です。

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