岸田文雄首相は21日、事実上の通常国会閉会を受けて首相官邸で記者会見した。物価水準の高止まりで家計の負担が大きいとして、2段構えの経済対策を実施すると表明した。第1弾として、5月分で終了した電気・ガス代の負担軽減策を8~10月に限って再開し、ガソリン代の補助も年内いっぱいは継続する。第2弾として、秋の経済対策の一環で年金生活者や低所得世帯への給付金などを検討する。
9月の党総裁選への対応や衆院解散、内閣改造・党役員人事の可能性については「先送りできない課題に取り組み、結果を出すこと以外に今は考えていない」と明言しなかったが、経済対策を打ち出すことで秋以降の続投に意欲をにじませた形だ。
首相は自民党派閥の政治資金パーティー裏金事件を受けた改正政治資金規正法に関し、「実効性のある具体的な制度を示すことができた」と改めて成果を強調。政策活動費の使途を監視する第三者機関などの積み残しについては「今後、早急に内容具体化の協議を進めていく」と語った。
日本経済の現状は「低物価・低賃金・低成長のデフレ型経済から脱却し、新たな成長型経済に移行できるか、まさに今、正念場だ」と指摘。経済対策では、学校給食費や飼料価格、地域公共交通・物流なども列挙し、「地方交付金を活用した幅広い物価高騰対策を検討していく」と説明した。当面の財源は今年度の予備費で賄い、給付金などは補正予算の編成を想定している。エネルギー構造にも触れ、原発再稼働の加速に注力する姿勢を強調した。
憲法改正を巡っては、衆院憲法審査会で自民、公明などの5会派が緊急事態条項に関する論点で実質合意したことを「極めて重要な一歩だ」と評価。閉会中審査にも意欲を示し「引き続き憲法の議論を一歩でも前に進めるべく努力を続ける」と述べた。
能登半島地震対応では「オール霞が関がワンチームとして復興を加速する」と言及。現地に省庁横断的な国の支援拠点として100人超規模の「能登創造的復興タスクフォース」を、7月1日に新たに発足させると明らかにした。【影山哲也】
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