いつか直面する遺産相続の問題。4月からルールが変わり、知らないと10万円のペナルティが科される可能性も!お金はどう分ける?実家はどう分ける?遺言書は守らなくてもいい?「損しない」「揉めない」ための相続の基本をどこまで知っていますか?

相続で揉めるのは「ルールを知らずに話し合う」から

相続について、街で聞いてみると「よくわからない」という声が多く聞かれます。

女性(会社員):
「兄がいるというのもあって自分事ではない。そんなに貯えがありそうでもないし、あんまり気にしていない」
50代女性:
「去年亡くなった父が入っていた百貨店カード。ポイントが20~30万円分ぐらい残っていて、そのポイントも相続税の対象になると聞いて、えっ、そんなことまでと驚いた」

そんな中、相続のリアルを描いた解説本『ぶっちゃけ相続』(ダイヤモンド社)が、シリーズ累計15万部を超える異例の大ヒットに!著者の税理士、橘慶太さんは、「遺産を巡る揉め事は、知識の乏しさが原因」と指摘します。

円満相続税理士法人 橘慶太さん:
「相続でよくありがちなのが、正しいルールを知らないまま話し合いを進めて、後々揉め事になるケース」

知らなきゃ損する!「実家放置」で“10万円のペナルティ”も

まずは、「実家相続」で気を付けなければならないのが、4月から変わった新ルール。
これまでは、実家を相続しても「名義変更」の義務はありませんでしたが…

円満相続税理士法人 橘慶太さん:
「これをやらないと10万円以下の過料に科せられてしまいます」

【相続登記の義務化】※今年4月からスタート
▼「相続を知った日」から3年以内に、不動産の名義変更「相続登記」をしなければならない
▼正当な理由なく登記しない場合は10万円以下の過料の可能性

不動産登記の義務化は、「今年4月以前に相続している不動産」も対象です。

円満相続税理士法人 橘慶太さん:
「何十年前に亡くなっている方の名前のままの不動産についても、自分たちで調べて相続人が誰かを把握して話し合いをして、名義変更をしないといけない

ルール変更の背景にあるのは、相続後も名義変更せずに放置する人が増え、所有者不明の空き家や土地が急増した問題。災害時にも取り壊しができず復興の妨げにもなっています。

「所有者不明の土地を全部集めると、九州より広いとも言われている」と話す橘さん。その多くは“バブルのなごり”だといいます。

円満相続税理士法人 橘慶太さん:
「バブル期に、『リゾート開発します』と言って、山林や原野を売りつける「原野商法」が流行った。その名残で今も所有者不明の土地が多く存在する」

知らなきゃ揉める!「実家」の分け方

4人家族のA家。父親が死去し、母親はすでに亡くなっているため、兄妹で遺産相続のパターン。遺産は全部で4000万円です。
▼家の価値⇒3000万円
▼貯金⇒1000万円

遺言がない場合は、「法定相続分」のルールで遺産を分けるのが基本。
これは、遺産の分け方の目安として国が定めた割合で、子どもがいる場合、【配偶者:2分の1】【子ども:2分の1】となり、子どもが複数いる場合は、その2分の1を兄弟で均等に分けることになります。

A家の場合、母親がすでに亡くなっているので、兄妹で2000万円ずつとなりますが、ここで問題が発生!兄が「家を相続して住み続けたい」と主張したのです。

ここで、相続クイズです。

【家の価値は3000万円、貯金は1000万円。兄妹で2000万円ずつ平等に遺産を分けるにはどうしたらいいか?】

スタジオの日向坂46・松田好花さんは、「3000万円の家は、名義を2人にすれば1500万円ずつにできる」とし、現金を500万円ずつわければ平等に2000万円になるのではと回答。

松田さんの回答に、税理士の橘さんからは「その形は平等性はすごく良いが、問題もある」との指摘も。
▼兄と同居しない場合、妹は「家の権利」だけを所有することになる
▼妹が家を売りたくても半分は兄の権利のため揉める原因になる

ということで、正解は…

「3000万円の家をもらった兄が、自分の貯金などから1000万円を妹に支払う」
そして父の残した貯金1000万円を妹がもらえば平等に2000万円ずつになります。

しかしスタジオからは「1000万円持っていない場合はどうなっちゃうの」との意見も。

これに対し、安住紳一郎アナは「まあ、40、50ぐらいになると、この辺ぐらいはね、もうみんな考えています。はい」と諭すように話し、「不動産を自分が相続するだろうなと思ったら、現金を多めに貯金しておかないとね」と“相続の心得”を説いていましたが、もし1000万円なかったらどうしたらいいのでしょうか?

円満相続税理士法人 橘慶太さん:
「分割払いもできるが、それも無理な場合は家を売却し金銭で分けることもよくある」

知らなきゃ揉める!「遺言書」 実は内容変更も可能

では続いての「よくある揉め事」のケース。

母と2人姉妹のB家。母親が亡くなり、実家で母の介護をしていた姉と、離れて暮らしていた妹で遺産を分けることに。
▼遺産は貯金⇒8000万円

法定相続分に当てはめれば、姉妹それぞれ4000万円なのですが、揉め事の原因は母の「遺言書」でした。書かれていたのは、
「介護を頑張ってくれた姉に遺産の4分の3を、妹に4分の1を渡す」という内容。
姉は6000万円、妹は2000万円の相続になります。

法定相続分というのはあくまでも国が定めた目安のため、遺言書の方が優先されますが、ここで問題が発生!妹が「平等に半分にして!」と主張。心優しい姉は4000万円ずつ分けることに了承しますが…。

それでは、相続クイズです。
【遺言書と違う分け方は有効か?】

宇賀神メグアナは「遺言書の効力は強いから、その通り分けなければダメ。成立しない!」と回答しましたが…正解は、「有効」なんです。

円満相続税理士法人 橘慶太さん:
「遺言書がある場合でも、相続人全員が同意をすれば、遺言書の内容を変更できる

遺言書通りに遺産を分けた場合、相続税が非常に高くなるケースもあるため、相続人全員が合意した上で、遺言書通りに相続を進めないこともよくあるといいます。ただ、一人でも反対の人がいれば、遺言書が優先されます。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。