フィリピンの国旗=ゲッティ

 フィリピン産バナナの輸入関税の撤廃を求め、フィリピン、日本両国の生産・輸出入関係者が18日、自民党に陳情書を提出した。フィリピン政府も関税撤廃を要望しており、今週来日する予定のパスクアル貿易相らが、日本政府関係者との会合で議題とする見通し。

 日本はフィリピン産バナナに対し、冬季(10月~翌年3月)は18%、夏季(4~9月)は8%の関税を課している。一方、米国、カナダ、豪州などは関税を免除しており、フィリピンでは、経済や安全保障面で緊密な関係にある日本にも、そうした国々と同様の対応を求める声が強まっている。

 陳情書は、フィリピンバナナ生産輸出組合と日本バナナ輸入組合が、自民党農林部会長の細田健一衆院議員に提出した。

 両組合は陳情書で、日本ではカンボジアやラオス、ベトナム、メキシコ産のバナナは関税が免除されており、フィリピン産の取り扱いは「均衡を欠く」と指摘。世界的な物価高騰の中でフィリピンのバナナ農家が苦境に立たされていると訴え、「安定的なフィリピン産バナナの供給」のため、関税撤廃を要望している。

 日本とフィリピンは戦争の複雑な歴史を抱えながら友好関係を築いてきた。近年は中国が南シナ海や東シナ海で海洋進出を強める中、米国を介した同盟関係がさらに重要度を増す。

 フィリピン産バナナを巡っては2012年、中国が南シナ海の領有権問題で対立するフィリピンに圧力をかける狙いで、同国産バナナを事実上、全面禁輸する騒ぎがあった。パスクアル貿易相は今月上旬、米ブルームバーグ通信の取材で、中国を念頭に「(関税撤廃により)日本にもっとバナナを輸出し、他の国で問題が発生した場合に備えておきたい」と語っている。【岩佐淳士】

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