大勢の来場者に見守られながら、海上へと滑り出すケミカルタンカー=福岡市中央区で2024年6月11日午後0時19分、吉田航太撮影
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 福岡市中心部のビルが建ち並ぶ繁華街・天神からほど近い沿岸部にある造船所「福岡造船」で11日、ケミカルタンカーの進水式があった。関係者や一般来場者が見守る中、鳴り響くベルの音を合図に大きなタンカーがゆっくりと滑り出し、無事進水した。

 タンカーの全長は146・5メートル、幅24メートル、深さ13・1メートルで、載貨重量は1万9900トン。この後、内装など最終的な仕上げを経て10月に受注先に引き渡される。

 1947(昭和22)年創業の福岡造船は、液化石油ガスやセメントの運搬船、客船などさまざまな船を造ってきた。近年は化学薬品を運ぶケミカルタンカーを手がけており、長崎市にある工場と合わせ年間8隻のペースで新造している。

 タンカーの船体は、工場で製造した、パーツとなるブロックを何度も組み合わせ、徐々に大きくする工程を重ねて造られる。最終段階になると、ブロックは1個で150トンに達するという。1隻のタンカーの設計から引き渡しまでには2年もの歳月を要する。

 晴天に恵まれたこの日、多くの来場者が開場前から列を作り、タンカーが目の前を滑っていくと歓声が上がった。福岡県古賀市から家族と訪れた原田小奈美さん(64)は、福岡造船のインスタグラムで進水式を知ったといい「間近で見て迫力がすごかった。ただただすごいしか出てこない」と興奮冷めやらなかった。

 年間4隻のペースで造船するこの工場では、新船の進水式が近づくと公式サイトやインスタグラムで日時を広報している。【吉田航太】

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