ライドシェアの開始に向けて取り付けられた表示板=大阪市福島区で2024年5月31日午後1時31分、梅田麻衣子撮影

 一般ドライバーが自家用車で客を運ぶ有償サービス「ライドシェア」。4月から東京23区や京都市など一部地域で運用が始まり2カ月たったが、民間調査によると、ライドシェアを知る人は半数程度にとどまる。タクシー不足の解消を狙って導入されたものの、認知度は今一つのようだ。

 ライドシェアは、自家用車の運転手と利用者を結びつける旅客運送サービス。スマートフォンの専用アプリで出発地や目的地を指定して配車を依頼すると、近くにいる一般ドライバーが運転する車がタクシーのように送迎してくれる。ただし先行する海外とは異なり、運営主体がタクシー会社に限られ、運行する地域や時間帯、台数も制限される「日本版」だ。

 調査はICT総研(東京都中央区)が4月30日~5月8日、インターネットで4355人に実施した。

 ライドシェアについて知っているか尋ねたところ、2472人(56・8%)が「知っている」と回答した。利用に前向きな231人に重視するポイントを聞くと(複数回答)、最多は「料金の安さ」で約140人。これに「アプリの使い勝手」(約100人)、「安全性・安全対策」(約80人)が続いた。「車両の清潔さ」「運転手の接客態度」「サービスの質」なども約60~70人と関心を集めたが、「利用可能な地域や範囲」「車両の到着時間」「プライバシーの保護」などは回答率が低かった。

 現行の「日本版ライドシェア」の料金は、基本的にタクシーと同水準だ。一方、配車アプリは「ウーバー」「ゴー」「エスライド」などがあり、ライドシェア車限定で配車を依頼できるかどうかなど、仕様は微妙に異なる。調査結果からは、利用者がライドシェアに対し、経済性や安全性、アプリの使い勝手の良さなどを求めている実態が浮かぶ。

 全国ハイヤー・タクシー連合会の統計では、2021年度末のタクシー総車両台数は約20万9000台で、ピーク時の07年度から約2割減少した。

 これに対し、ICT総研はライドシェアの利用者数は24年末に81万人と推計。今後、全面解禁に向けた法整備が進み、導入地域なども拡大されれば、27年末には452万人に増加すると見込む。同社は「普及には、利用者の関心に応える形でサービスを提供し、信頼性や利便性を高めることが重要だ」と指摘している。【嶋田夕子】

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