米国と中東、2つの要因が金融市場を揺るがしている。16日の東京外国為替市場で、円相場は一時、1ドル=154円台後半をつけ、約34年ぶりの安値を更新。米個人消費の強さから、連邦準備制度理事会(FRB)の利下げが先送りされる可能性が強まり、日米金利差を意識した円売りドル買いが加速した。また、中東情勢の緊迫化も株式市場に逆風となった。
午後5時時点の円相場は、前日比40銭安の1ドル=154円39~40銭。日経平均株価は続落し、終値は761円60銭安の3万8471円20銭と約2カ月ぶりの安値に沈んだ。
市場は政府・日本銀行による為替介入を巡り、疑心暗鬼に陥っている。円相場は一昨年10月に介入があった151円台後半を通り過ぎ「次の防衛ライン」が見えづらいためだ。ワシントンで17日、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が始まることも、介入のタイミングを計りづらくしている。
鈴木俊一財務相は16日の会見で「必要に応じて万全の対応を取っていきたい」と述べた。
ドルは円以外の多くの通貨に対して買われ、「独歩高」の色彩が濃くなっている。新興国のドル建て債務の負担増といった悪影響も懸念される。G20会議で為替に焦点を当てた議題は設定されていないものの、話題になる可能性はある。(米沢文)
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