半導体大手キオクシアホールディングス=東京都港区で、井口彩撮影

 半導体大手キオクシアホールディングス(旧東芝メモリ)が、年内にも東京証券取引所に上場を目指す方針を固めたことが16日、関係者への取材で明らかになった。人工知能(AI)の普及で、データセンター向けの半導体の需要が増えると見込まれ、上場で研究開発や設備投資の資金を確保したい考え。

 キオクシアの2023年4~12月期連結決算は、最終(当期)損益が2540億円の赤字で、安定した資金調達先の確保が急務だった。

 最大9000億円規模の借入金の返済期限が6月に迫っており、上場方針を成長戦略の一つとして示す狙いもある。大株主の米投資ファンド、ベインキャピタルが15日、銀行団に方針を伝えたという。

 20年にも上場を予定し、東証が承認していたが、米中対立のあおりで事業環境が悪化。上場時の株価が想定を下回る可能性があるとして、上場延期を決めていた。

 キオクシアが主に手がけるNAND型フラッシュメモリーは、スマートフォンなどのデータ保存に使われ、スマホの需要動向などの影響を受けやすい。半導体の市況が改善したことも今回の上場検討を後押しした。

 ベインキャピタルを中心とする企業連合が18年に東芝からキオクシアを買収。東芝は現在もキオクシア株を約4割保有している。

 キオクシアは「適切な時期に上場を目指すとしてきた点に変わりはない。時期については話せない」としている。【安藤龍朗】

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