写真はイメージ=ゲッティ

 長引く円安に影響を受けた企業の倒産が今年5月は12件に上り、2020年以降で最多となったことが東京商工リサーチの発表で明らかになった。前年同月比33・3%増で、海外からの輸入に頼る卸売業や小売業が多かった。外国為替市場の円相場は4月末に1ドル=160円台を付けるなど歴史的な円安水準を記録しており、原材料費の価格転嫁が難しい中小・零細企業は苦しさを増している。

 5月の円安関連倒産は、卸売業5件▽小売業3件▽運輸業2件▽製造業1件▽情報通信業1件――となった。

 円安関連倒産は1ドル=100~120円台で推移していた20年から22年前半にはほとんど見られなかった。1ドル=130円台を付けていた22年7月以降、倒産する企業が目立ち始め、件数は増加傾向が続いている。

 東京商工リサーチは「経済活動が勢いを増し、売り上げ増加に伴う仕入れ増から(企業の)資金需要が活発になっている」と指摘。円安に加え、エネルギー価格や人件費などのコスト上昇に対応できない企業は「新たな資金調達も難しく、資金繰り悪化に拍車を掛けている」と分析している。【嶋田夕子】

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