駅構内にある「Kiosk」店舗などの運営を手掛けるJR東海リテイリング・プラス(名古屋市)は4月15日、無人店舗「TOKYO BANANA express」の概要を報道陣に公開した。同店舗は東海道新幹線 東京駅16・17番線ホーム上にあり、18日オープンの予定だ。どのような仕組みになっているのか、筆者が取材した。
新店舗の仕組みは次のようになっている。
店舗には、洋菓子の製造・販売を手掛けるグレープストーン(東京都中央区)の「東京ばな奈『見ぃつけたっ』」(4個入と8個入)、「シュガーバターサンドの木」(10個入と14個入)、「東京ばな奈『見ぃつけたっ』ブリュレタルト」(5個入と8個入)がそれぞれ並べてある。
商品はガラスケースに入っている。購入しようとして手に取ると、店舗上部にあるカメラと棚に設置されたセンサーで商品を判別。商品を持って無人のレジ前に来ると会計が始まる。レジの画面に購入した商品一覧が表示されるので、問題なければ「次へ」をタッチ。支払い方法を選択するという流れだ。現金には対応しておらず、バーコード決済、クレジットカード、交通系電子マネーで支払いをする。
店舗のシステムを提供するのは、TOUCH TO GO(東京都港区)だ。同社はこれまでファミリーマートの無人店舗運営などに携わってきた。
従来の無人店舗は屋内で展開することが多かったが、新店舗はホーム上にある。同社の阿久津智紀社長によると、従来と違って「カメラが外を向いている」「外国人観光客の利用が多く見込まれる」「商品を手に取ってから購入するまでのスピードが速い」といった特徴があり、解決すべき技術的課題がいくつかあったそうだ。
万引き対策はどうなっているのだろうか。実際に筆者が商品をガラスケースから取り出そうとすると「商品を手に取っていただき、ありがとうございます」という人工的なアナウンスが聞こえた。利用客にこうした声掛けをすることで、万引きを防止したい考えだ。店舗は基本的に無人だが、商品の補充は他の店舗と同様にスタッフが定期的に実施する。
なぜ無人店舗にチャレンジ?
なぜ、JR東海リテイリング・プラスはこうした店舗にチャレンジするのか。同社の担当者によると、店舗の人手不足解消という側面はあるものの、主たる目的は「新しい購入体験を楽しんでもらうこと」だという。また、発車時間に間に合うように急いで土産を買いたいというニーズに対応する狙いもある。
店舗に並べた商品の選定基準はどうなってるのか。グレープストーンの担当者によると、東京ばな奈「見ぃつけたっ」とシュガーバターサンドの木は、同社の売り上げランキング1位と2位の人気商品だという。また、東京ばな奈「見ぃつけたっ」ブリュレタルトは、JR東海リテイリング・プラスに向けて独自開発した商品。強い売れ筋の商品と、JR東海のキオスクを中心に販売する限定商品をそろえたとしている。
JR東海リテイリング・プラスによると、TOUCH TO GOが提供する無人決済システムを使用した対面型無人店舗を新幹線ホーム上に設置するのは今回が初だという。
取材中、外国人旅行客と思われる集団が何組か興味を示し、店舗で買い物しようとしている姿が印象的だった(まだオープンしていないので利用はできない)。新店舗は「土産を買いたいけど時間がない」という問題を解決するとともに、外国人旅行客に支持される可能性があると感じた。
(ITmedia ビジネスオンライン)
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