公正取引委員会の看板。公正取引委員会などが入る中央合同庁舎第6号館B・C棟で=東京都千代田区霞が関で2019年、本橋和夫撮影

 公正取引委員会は27日、下請け法の運用基準を見直した。大企業などが原材料費や人件費などのコストが上昇しているにもかかわらず取引価格を据え置く行為が「買いたたき」として、法令違反になり得るとした。コスト上昇分の価格転嫁を促し、中小企業の経営状況改善や賃上げにつなげる狙いがある。

 下請け法は、市場価格などをもとに通常支払われる代金と比較して「著しく低い下請け代金額」を親事業者が下請け事業者に不当に押しつけることを買いたたきと定義し、禁止行為としている。

 新たな運用基準では、この「著しく低い下請け代金額」の例に労務費や原材料価格、エネルギーコストなどが著しく上昇している場合に据え置かれた下請け代金額を明記した。コスト上昇については、最低賃金の上昇率や春闘の妥結額、ガソリン価格などの公開情報を基に判断する見込みだ。

 円安による輸入価格上昇やロシアによるウクライナ侵攻などの影響で、原材料費やエネルギーコストは大幅に上昇し、中小企業の経営を圧迫している。人手不足の深刻化や最低賃金の上昇による人件費の増加も顕著だ。取引価格の据え置きは中小企業にとっては実質的な値下げとなる。

 政府は物価高を上回る「持続的で構造的な賃上げ」を目指す。賃上げが中小企業に広がるためには発注元の大企業などが適正に価格転嫁を進める必要がある。【町野幸】

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