経団連の十倉雅和会長

経団連は15日、グローバルサウス(南半球を中心とした新興・途上国)との連携強化を求める政府への提言を公表した。発展著しい国々の活力を取り込むため、相手国の経済戦略の策定段階から官民が連携して関与する「オファー型の協力」が必要だと指摘し、官民フォーラムなどを通じた売り込みや金融面での政府の支援も求めている。

政府はグローバルサウスとの協力拡大策を協議する「グローバルサウス諸国との連携強化推進会議」で今春にも方針を策定する予定。経団連の提言はこうした動きに合わせ、経済界の意向を反映するため取りまとめた。

連携強化に向けては、官民フォーラムを通じて相手国の社会課題解決に向けた協力内容を提示するなどの対応を求めた。例えば日本主導でアジアの脱炭素化を目指す「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」構想などで、日本の技術や製品、サービスを提案することを想定している。

また、アフリカ市場で欧州やトルコ、インド企業と協力するなど、既に相手国と密接な関係を持つ第三国と協力し関係を深めることを提案。経済的に発展して政府開発援助(ODA)を卒業する国でも、日本にとって食料や資源、エネルギーの確保につながる事業などに対しては企業のリスク対応能力を高める公的支援を講じるよう求めた。

提言では、2050年には世界人口の3分の2を占めると予測されるグローバルサウスの活力を取り込めるか否かは「日本にとって死活的」だと指摘。そのためには、民主主義など価値観の共有を求めるのではなく、広く連携を強化する現実的対応が日本の国益に合致するとも提案している。(田辺裕晶)

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