記者会見に臨む奥山清行氏=山形県南陽市で2024年5月21日、古賀三男撮影

 2021年3月に閉館した山形県南陽市の温泉施設「ハイジアパーク南陽」事業を市から譲渡された運営会社「四季南陽」(同市)は21日、新たな複合リゾート施設の整備を断念すると発表した。南陽市との売買契約は解除する。

 同社でこの事業の総合プロデュースを担当していた世界的工業デザイナー、奥山清行さんと、白岩孝夫市長が同日、市内で記者会見して明らかにした。

 奥山さんによると、市から譲渡された建物(1992年完成)を改修中の2023年8月、旧施設床材のタイルカーペット敷きに使われていた接着剤にアスベスト(石綿)が混入していることが判明し、工事を中断。23年12月に追加調査を実施した結果、建物の広範囲でアスベストが使用されていたことが判明した。「経営の試算をすると、事業の実現は見込めず当社の存続に関わる」との結論に至り、4月25日に市に対して売買契約の解除を申し入れた。

 白岩市長は契約解除について「残念だが、やむを得ない」と述べた。今後の建物の取り扱いについては「具体的な内容は未定」とした。

 事業を巡ってこれまでに支出した費用は、南陽市が21~23年度の四季南陽への実質的な補助金は計約6000万円。同社側は約1億3000万円で、約4000万円の赤字だという。

 ハイジアパーク南陽は市が約40億円をかけて整備し、92年に開業した。大浴場や遊具広場、多目的ホール、屋外プールなどがあった。市が施設を保有し、第三セクターが指定管理者として運営していた。しかし、入館者数の減少によって債務超過に陥り、21年3月に閉館した。市は公募を経て譲渡先を決め、21年9月に四季南陽と売買契約。宿泊施設やレストランなどが入る建物を新設する計画だった。【古賀三男】

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