林芳正官房長官

 林芳正官房長官は21日の記者会見で、6月から始まる所得税と住民税の定額減税について、企業などに対して「所得税の減税額を給与明細に明記してもらう」と説明した。給与所得者約5000万人が対象。住民税については給与所得者は6月分はゼロ円となる。手取りの増加を実感してもらうのが狙い。

 減税額の給与明細への記載は2023年12月に閣議決定された税制改正大綱で掲げられ、関連法の施行規則改正によって義務づけられた。企業など源泉徴収義務者への事務負担について、林氏は「お願いしていることは事実であり、税法の成立前より広報してきた。引き続き丁寧な発信に努める」と強調した。

 定額減税は1人当たり所得税3万円、住民税1万円。岸田文雄政権が物価高対策の一環として打ち出した目玉の政策で、所得税の場合は、年収2000万円以下の納税者と扶養家族が対象となる。減税しきれない分は翌月以降に繰り越す。

6月の給与明細のイメージ

 一方、住民税については給与所得者の場合、6月分は徴収されず、7月以降の11カ月で、減税が反映された年額が徴収される。

 林氏は「可処分所得を下支えすることにより、物価高を上回る所得の実現につなげていきたい」と述べ、「デフレマインドの脱却につなげていくためには、国民が政策の効果を実感できるようにすることが重要だ」と強調した。

 給与明細の記載義務化の方針について、財務省関係者は「インターネット上では最近決まったような見方があるが、昨年12月に決まっているので誤解だ」と説明。企業向けパンフレットは1月末に公表しており、事務担当者は当時から準備を進めているという。1998年の定額減税でも減税額を給与明細に記載している。【山下貴史、鈴木悟】

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