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 物価高や異常気象で食材の価格の波が大きくなり、消費者の負担が増しています。一方で、生産者も高騰や暴落に頭を悩ませていて、沖縄では日本が世界に誇る和牛に異変が起きています。

■石垣牛の子牛価格が大暴落

石垣牛 この記事の写真

 沖縄県・石垣島の温暖な気候のなか、輝く太陽を浴び、美しい海に囲まれて、健康に育つ石垣牛。脂身のとろけるような食感と、甘みのある肉質が人気のブランド牛です。

 しかし、ここにきて、石垣牛の子牛価格が暴落しているのです。石垣島で30年以上、親子三代で牛の繁殖農家を営む宮良妙子さん(62)は現状をこう話します。

繁殖農家を営む 宮良妙子さん 宮良さん
「1頭70万〜80万円で売れていた牛が、コロナ禍で50万円ぐらい下がって、今は30万円ぐらいになってますね」

 今月ここまで行われていた市場の平均価格は1頭あたりおよそ40万円。去年の同じ月と比べ、マイナス7万円になりました。

 JA沖縄によりますと、その要因の一つは、物価高だといいます。比較的安い鶏肉や豚肉などへ消費の流れが変わり、和牛の価格が上がりにくくなっているのです。それに加えて、ウクライナ侵攻や円安の影響で、餌(えさ)代が高騰。石垣島という立地にも理由がありました。

宮良さん
「特に離島は遠いので、飼料も牛自体も運搬する上でのハンディもある。(買い手は)ちょっとためらうのではないかなと思います」 現在は5万円の赤字

 宮良さんの農家では、(メスの子牛の場合)30年前ならば子牛をセリに出すまで18万円ほどかけて育て、36万円ほどで売れていました。現在は育てるまでに40万円もかかるため、平均販売価格のおよそ35万円で売ると5万円の赤字になってしまいます。

宮良さん
「牛を育てれば育てるほど赤字が増えるという現状があります」

 同じ石垣島の繁殖農家の中には、専業から離れる決意をしたという人もいるといいます。

繁殖農家 歴3年 30代男性
「兼業がもし赤字補填できるほどにうまくいかなければ、いずれは体力が尽きて離農するしかなくなるのかなという感じはしますね」

 男性のように兼業に切り替えたり、農業をやめたりした人が増えたといいます。

繁殖農家悲鳴

 畜産農家の努力だけでは、もはやどうにもならないと宮良さんは話します。

宮良さん
「和牛は本当に世界的なブランドなので。和牛が潰れてしまう、和牛を守る手立てを政治が考えてほしいと思います。一生懸命育ててるのにね。消費者にきちんと届いてくれたら、本望だと思うんだけど」

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■ブロッコリー暴騰 398円で販売する店も

■ブロッコリー暴騰 398円で販売する店も

 価格が暴落する食品もあれば、反対に暴騰している食品もあります。ブロッコリーの価格が跳ね上がっているのです。

ブロッコリー暴騰 買い物客
「最近しばらく買ってない」
「(Q.きょうは398円)買わない」 2週間で倍に

 青果店の店主もあきれるほどの高値です。

千駄木金杉青果店 鈴木孝弘店主
「150円から高くても180円ぐらいで売れていたかなという記憶はあるんですけど、398円はちょっと高すぎますよね」 ほぼ利益出ず

 ブロッコリーの仕入れ値は通常、1株100円から150円でしたが、直近では378円で仕入れたといいます。398円で売っても、ほぼ利益が出ません。

先週はキャベツが高騰

 先週はキャベツの店頭価格が1000円を超える事態になったため、店主は頭を抱えています。

鈴木店主
「(Q.キャベツとブロッコリーの価格高騰について)八百屋さんでは上位の人気野菜で、皆さん大体買われるので。それが高いというのは、売り上げにも大ダメージです」

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■出荷量↓ 去年の約5分の1になる地域も

■出荷量↓ 去年の約5分の1になる地域も

 なぜこんなにまで値上がりしているのでしょうか?卸売業者を訪ねました。

なぜ値上がり? 國崎青果 関東営業所 小園智之所長
「全国的に今年は天候不良によって、ブロッコリーが順調に成長しなかった」

 特に九州と四国では、出荷量が去年のおよそ5分の1に落ち込んでいる地域もあるといいます。ブロッコリーがいつもの価格に戻るのは、いつになるのでしょうか?

価格戻るのはいつ? 小園所長
「今週から徐々に下がってくるとは思うんですけど。福島、新潟、鳥取(の出荷)が出てきて、今後落ち着いてくると思います」 リンゴやミカンも値上がり

 ブロッコリーの他にも、リンゴやミカンも値上がりしているという状況。食卓に当たり前にある食材が軒並み高騰していて、家計への圧迫はしばらく続きそうです。

(「グッド!モーニング」2024年5月20日放送分より)

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