明治安田生命保険は8日、企業の年金資金を運用する企業年金保険について、契約企業に約束する利回りである予定利率を2025年4月に現在の1・25%から1・3%に実質的に引き上げると発表した。日銀が3月にマイナス金利の適用を解除して以降、大手生保で予定利率の引き上げを決めたのは初めて。
企業年金は国民年金や厚生年金のような公的年金とは別に、保険会社に資金を預ける形で企業が運用する私的年金。日銀の低金利政策が長期化して運用環境が悪化する中、大手生保は予定利率を引き下げてきた。特に16年のマイナス金利導入後は、預かった資産の運用益が予定利率に届かない「逆ざや」が懸念され、明治安田生命では16年4月から新規引き受けも停止していた。
同社によると、02年以降1・25%としてきた予定利率を0・5%に引き下げる。一方、運用利回りの見通しに基づき3年ごとに設定する「上乗せ利率」を導入し、市場金利と連動させやすくする。25~27年度は0・8%と設定し、合計で1・3%の利率を保証する。28~30年度の上乗せ利率は現状で「0・5%以上」としている。
改定対象は、あらかじめ将来の支払額が保証される「確定給付型」を契約している約2300社。今回の改定に伴い9年ぶりに新規の引き受けも再開する。利率を下げて引き受けを続けるなどしてきた他の生保にも予定利率の引き上げが広がる可能性がある。【井口彩】
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