新しいSNS「Bluesky」(ブルースカイ)のユーザーや開発者らによる交流イベント「Bluesky Meetup in Tokyo」(ブルースカイ ミートアップ イン トーキョー)が13日午後、東京・紀尾井町のLINEヤフー本社で開かれ、会場とオンラインで約200人が参加した。米ブルースカイ社の開発者、ジェロミー・ジョンソン氏が来日して登壇したほか、同社のジェイ・グレイバーCEOもオンラインで参加。来場者からの質問に答えたり、ゲストとパネルディスカッションを行ったりして議論を深めた。
Xの対抗馬として注目
ブルースカイは、ツイッター(現X)の共同創業者、ジャック・ドーシー氏らがアメリカで立ち上げた新しいSNSで、Xの対抗馬や代替サービスとして注目を集めている。2023年初めに提供が開始され、日本語にも対応している。
当初は会員になるために招待コードが必要だったが、今年2月に招待制が廃止されて利用者が急拡大。ブルースカイ社によると、特に日本での登録が増えたという。現在、登録ユーザー数は全世界で約550万人、実際に投稿した人も約260万人。
技術面では、Xやフェイスブックのようにひとつの企業が中央集権的に管理する仕組みとは異なり、ブルースカイは多数の個人・グループがそれぞれのサービス領域を構築して運営を担うことができる「分散型(分権型)」のSNSであることが大きな特徴だ。画面上の見た目はXによく似ているが、1社で集中的に管理されているのではなく、運営者の連携によってサービス全体が成立している。
自由でオープンな仕組みのSNS
パネルディスカッションでは、ブルースカイと他のSNSとの違いについてグレイバーCEOが「ブルースカイはオープンな仕組み。投稿や表示をカスタマイズする機能も提供している。そこが際立った違い」とアピール。
ジョンソン氏は、ブルースカイの公式アプリについて「開発者が異なる仕様にして自由に使うことができる。アプリに多様性を持たせられる」と説明した。
パネリストとして登壇したnoteプロデューサーでブロガーの徳力基彦氏は、「開発者のコミュニティーがオープンなところ」が他のSNSとの最大の違いだと指摘。「これから何か新しいことが始まりそうだ」と、ブルースカイのサービスやコミュニティーの発展に期待を寄せた。
収益確保や健全な利用環境維持が課題
ブルースカイは新しいオープンな運営形態を追求している一方、課題も少なくない。
サービスの試用段階である「ベータ版」から正式なサービスへと移行したものの、将来にわたってサービスを持続させる収益基盤はまだない。グレイバー氏は「最近まで収益化を考えるフェーズ(段階)にはなかった。今年は考えていきたい」と率直に語った。
Xなど多くのSNSは広告収入を経営の柱としているが、ジョンソン氏は「安易に広告を導入することは考えていない」と説明する。一部のサービスに課金する案などもあり、ビジネスモデルの確立が求められている。
またブルースカイでは、ユーザー同士のダイレクトメッセージ機能や、フォロワー以外のユーザーに自身の投稿が見られないよう「鍵」をかける機能、動画をアップロードする機能などが導入されていない。来場者からの質問に対し、グレイバー氏とジョンソン氏は、こうした機能の導入も検討していることを明らかにした。
さらに、SNS内で詐欺的な勧誘などの犯罪行為が行われたり、ユーザー同士の対立や誹謗中傷、名誉棄損などが起きたりするケースが社会問題化している。ジョンソン氏は報道陣からの質問に対し、ブルースカイではユーザーが自身で表示されるコンテンツを統制できる機能(モデレーション)を備えていると指摘。また、ユーザーが運営するコミュニティーではそれぞれ独自にルールを決められることを挙げ、利用者自身で健全な利用空間を保っていくことを期待した。
14日午後には、大阪でも「Bluesky Meetup in Osaka」が開催される。(上野嘉之、西山諒)
新しいSNS「Bluesky」- “広告まみれ”にはならない グレイバーCEOインタビュー
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