福岡空港を運営する福岡国際空港(FIAC、福岡市)が発表した2024年3月期決算(単体)で、本業のもうけを示す営業利益は65億円だった。19年の空港民営化以降、初の黒字となり、同社は「経済波及効果は大きい。九州全体の成長の底上げに寄与したい」としている。
FIACは九州電力や西日本鉄道などが出資し、19年4月から空港を運営している。インバウンド(訪日客)需要の高まりが期待される中で新型コロナウイルス禍が直撃。旅客数が低迷し、収入は激減した。22年度から回復基調に入ったものの営業損益、最終(当期)損益とも赤字に終わった。
新型コロナによる行動制限が撤廃された23年度は、国内線の旅客数はコロナ禍前の18年度比99・7%の1787万2000人。国際線は102・1%となる706万5000人で過去最高を記録した。
売上高は前期比64%増の512億円。韓国などを中心としたインバウンドの増加で、免税店の売り上げや土産物店のテナント賃料などが増えた。最終(当期)損益はマイナス24億円で5期連続の赤字だったが赤字幅は前期から67億円改善した。
福岡空港では、25年3月に第2滑走路の供用開始、国際線旅客ターミナルビルの増改築工事の完成を予定している。26年度には国内線にバスターミナルを備えた複合施設も完成予定だ。
25年3月期については、売上高518億円、営業利益8億円、最終(当期)損益を70億円の赤字と予想している。滑走路増設に伴う便数や旅客数の増加で26年度には最終(当期)損益の黒字化を目指す。
FIACは18年、4460億円で国から福岡空港の運営権を得て、新型コロナの影響もあって2051年度までその対価の費用を計上する計画。福岡空港の運営権など4316億円の資産(23年度)に対し、負債は4602億円で286億円の債務超過になっている。
田川真司社長は「今年度は25年春に供用開始される増設滑走路への対応、国際線旅客ターミナルビルの増改築工事の完了など収益拡大に向けた基礎作りをする1年にしたい」と語った。【下原知広】
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