美容室の倒産が過去10年で最多となる公算が大きくなっている。東京商工リサーチの調査によると、2024年1~4月の倒産件数は46件となり、前年同期と比べ約1・5倍。このペースが続けば19年に記録した年間105件を上回りそうだ。
美容室の年間倒産件数を見ると、15~17年は70件前後で推移していた。18年に95件に上昇し、19年には105件となった。
新型コロナ禍では、在宅勤務やテレワークの広がりに加え、感染リスク回避のため顧客が来店を控えるなど厳しい状況にあった。しかし、政府の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)に支えられ、20~22年の倒産件数は70件程度に落ちついていた。
コロナが「5類」に移行した23年以降、客足は回復しつつあるが、多くの業界同様に円安の加速や物価高、人手不足が経営を直撃。融資で急場をしのいで倒産を免れていた美容室もいよいよ経営難に陥ったとみられ、23年は倒産件数が91件に上り、今年に入って増加傾向が強まっている。
美容室は比較的参入しやすい業種とされ、店舗数も多いため、同業者間の競争が激しい。料金の値上げでコストの転嫁を図るが、サービスが値段に見合わないと判断されれば顧客離れを招く。
東京商工リサーチは「技術力や接客力に加え、ブランディング力もますます問われる。集客につながる強みを持たない美容室の淘汰(とうた)が進んでいく可能性が高い」と指摘している。【嶋田夕子】
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