米国と中国の国旗(写真はイメージ)=ゲッティ

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは10日、バイデン米政権が中国製の電気自動車(EV)への関税を現在の4倍の100%に引き上げると報じた。中国メーカーは低価格EVの輸出を増やしており、米自動車メーカーを保護する狙いとみられる。車載電池や電池生産に不可欠な重要鉱物への関税引き上げも検討する。早ければ来週中に発表する。

 バイデン政権は現在、トランプ前政権から引き継いだ対中制裁関税の見直し作業を進めている。EVに対する制裁関税は現在25%だが、100%への引き上げを検討する。現時点で中国製EVの米国販売はほぼゼロだが、自前で電池を製造し低コストを実現する比亜迪(BYD)が欧州市場などで販売を伸ばしており、安価な中国製EVの米市場流入への懸念が強まっていた。

 EV生産の「肝」となる車載電池や重要鉱物に加え、太陽光パネルなど中国企業が低価格化で輸出を増やしているクリーンエネルギー分野での関税引き上げを検討する。

 バイデン政権は中国政府による巨額の補助金で、中国企業が低価格EVなどを過剰生産していると問題視。4月上旬に訪中したイエレン米財務長官は、中国製EVや太陽光パネルなどの関税引き上げを排除しない考えを示していた。

 中国外務省の林剣副報道局長は10日の記者会見で「中国に対する追加関税をすべて撤廃し、新たな関税を課さないよう求める。中国は自国の権利と利益を守るため、必要なあらゆる措置をとる」と述べた。【ワシントン大久保渉】

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