リクルートの看板=小川信撮影

 4月に始まったトラック運転手の時間外労働時間の上限規制により、物流業界では人手不足や配送の遅れなどの懸念が強まっている。「2024年問題」への対応が待ったなしとなる中、物流関連の求人に変化が起きている。

 転職サービス「リクルートエージェント」を運営するリクルートが、同サービスの23年12月~24年2月の求人数を分析したところ、「物流企画関連」が14年比で17・49倍、「デジタル化関連」は同14・76倍に増加。

 インターネット通販の利用の広がりなどを受け、業界では少量の荷物を頻繁に運ぶ業務が増え、積載率は40%未満で推移している。課題となっている効率性やコスト面を改善する人材として、物流の品質やコスト・生産性を管理する物流企画▽物流管理▽輸配送管理――を含む「物流企画関連」へのニーズが高まったという。

 また、他業界に比べやや後れを取っていたデジタル化の兆しも見えている。物流とITを融合したサービスを提供する「物流テック」や「ITエンジニア」といった求人も急増。社内にデジタル系の部門を設立する企業も増えた。

 業界内では、荷主と運転手を結びつけるシステムの活用▽共同配送による積載率の向上▽荷主の協力などによる運転手の待機時間削減――などの動きも出てきている。リクルートの物流領域専任コンサルタント、吉川宗氏は「現場では少しずつ生産性向上を実現する事例が出てきた。企業はこれまでの常識を見直し、生産性向上のための抜本的な仕組みの改善が求められているのではないか」としている。【嶋田夕子】

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。