日銀は9日、4月25、26日にあった金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。足元で続く歴史的な円安・ドル高について、想定以上の物価上振れを招く可能性を指摘する声が相次いだ。会合後の記者会見での植田和男総裁の発言が「円安容認」と市場で受け止められたが、内部では円安の影響について活発な議論が交わされた模様だ。
円安は輸入コストの増大を通じて、国内物価を押し上げる効果がある。4月会合では円安について「短期的にはコストプッシュ型の物価上昇を招くことで経済を下押しする」「物価の上振れリスクにも注意が必要」といった意見が出た。
日銀は3月に約17年ぶりの利上げに踏み切った。円安で物価上昇の上振れが続いた場合、「(金融政策の)正常化のペースが速まる可能性が十分ある」との指摘もあった。「金利のパス(道筋)は市場で織り込まれているよりも高いものになる可能性がある」と利上げペースが想定よりも速まる可能性を指摘する委員もいた。
日銀が現在も続けている国債の大量購入については「どこかで削減の方向性を示すのが良い」など購入額を縮小させる必要性への言及が複数あった。保有する上場投資信託(ETF)についても「長い時間がかかっても残高をゼロにしていくべきだ」との意見も出た。【浅川大樹】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。