トヨタ自動車が8日発表した2024年3月期連結決算(国際会計基準)は、本業のもうけを示す営業利益が前期比で約2倍の5兆3529億円となり、日本企業で初めて5兆円の大台に乗せた。これまでの営業利益の最高額はトヨタ自身が達成した2兆9956億円(22年3月期)で、大幅に更新した。
また、最終(当期)利益も同じく約2倍の4兆9449億円と過去最高を更新。SMBC日興証券のまとめによると、日本企業の最終利益は、ソフトバンクグループが21年3月期に出した4兆9879億円が過去最高で、今回のトヨタ決算はわずかに届かなかったが、ほぼ並ぶ水準。日本の製造業では過去最高となった。売上高は45兆953億円となり、過去最高だった前年(37兆1542億円)を2割以上上回った。
米国を中心にハイブリッド車(HV)の販売が好調だった。また、半導体不足が和らいで生産台数が伸びたほか、車の機能向上に伴う販売価格の値上げも業績を押し上げた。さらに歴史的な円安も追い風となり、為替要因で6850億円の増益につながった。
8日東京都内で開かれた決算記者会見で、佐藤恒治社長は「積み上げた事業基盤が実を結んだ。この経営基盤をもとにさらなる成長戦略を描き持続的成長につなげていく」と述べた。
一方、25年3月期連結業績の見通しは、売上高が46兆円(前期比2%増)、営業利益は4兆3000億円(同19・7%減)、最終利益は3兆5700億円(同27・8%減)とした。持続的な成長に向けた投資として、電気自動車(EV)や生成AI(人工知能)、半導体分野などに約2兆円を投じる方針で、そのうち従業員や仕入れ先の賃金を含む労働環境の改善策などに3800億円を投じる。
佐藤社長はグループ各社で相次いだ認証不正問題にも触れ、「グループ各社の不正や余力不足の問題に正面から向き合う足場固めが最優先事項だ」と語った。
23年度の世界販売台数は前年度比7・3%増の1030万9457台と、年度ベースで初めて1000万台の大台を突破。ダイハツ工業と日野自動車を含むグループの世界販売も1109万108台と、初めて1100万台を上回り、このうちHV販売は前年度比31%増の355万台と過去最高だった。【大原翔、秋丸生帆】
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