被害が膨らむ可能性が出てきました。三菱UFJ銀行の半沢頭取が初めて会見。十数億円を盗んだとされる女性行員は、どのような人物なのでしょうか。
■半沢頭取、問題発覚後初の会見
三菱UFJ銀行 会見 この記事の写真 三菱UFJ銀行 半沢淳一頭取「信頼・信用という銀行ビジネスの根幹を揺るがすものであると厳粛に受け止めており、お客様や関係者の皆様に心よりおわびを申し上げます」 半沢淳一頭取
冒頭、頭を下げた半沢頭取が、問題発覚後初めて記者会見に臨みました。
半沢頭取「行為者は江古田支店と江古田支店が統合された練馬支店・玉川支店の店頭業務責任者を務めておりました。具体的には営業課長および課長権限を有する営業課の支店長代理の役職に就いており、貸金庫業務を統括する立場にありました」 被害状況
行員は2020年4月からおよそ4年半にわたり、貸金庫から契約者の現金など十数億円相当を盗んでいたことが分かっています。
半沢頭取「被害を受けられた可能性が高いお客様はこれらの支店の貸金庫のご契約者のうち約60名であり、被害の総額は時価十数億円程度となる見込みです。これは行為者の供述に基づく被害状況であり、お客様による確認を経て変動する可能性がございます」 盗難の手口
不正を行った行員は、どんな人物だったのでしょうか。
半沢頭取「行為者は40代の女性でございます。このようなことをするような人間だったという評価を現時点では私ども確認できてございません」
11月14日付で懲戒解雇されたという行員は、動機についてはこれまで「私的な資金に流用するためだった」と話しているほか、共犯はおらず「1人でやった」と説明しているということです。
半沢頭取「(Q.元行員はなぜこういうことをした?)」
「私ども銀行において、本人に調査したところ、今回の資金については、投資等に流用をしているという供述を得ています」
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■なぜ防げなかった? 浮かび上がる疑問■なぜ防げなかった? 浮かび上がる疑問
なぜ?高い安全性があるはずの貸金庫で、なぜ不正が起きたのか、いくつか疑問があります。
まずは「金庫室への不審な出入りがあった場合、銀行側は気が付くことができないのか」という問題です。
半沢頭取「今回の練馬・玉川(支店)において、ここで初めて貸出金庫の統括責任者に就いた。このような権限を有したタイミング以降このような行為をしているとみている」
もう一つの疑問は「顧客の金庫をどう開けたのか」という点。貸金庫は顧客用の鍵と銀行が管理する鍵、その2つがなければ解錠できません。
その手口とは?ただ、顧客用の鍵はもう一つ存在していました。紛失に備えたもので銀行が保管していました。行員はこの2つの鍵で解錠し、顧客の資産を盗み出していました。
チェック体制はなぜ銀行側は不正に気付くことができなかったのでしょうか。第三者による定期チェックの仕組みも導入していましたが、封印を解いて確認することはなかったということです。
三菱UFJ銀行カスタマーサービス推進部 向井理人部長「(Q.なぜ点検で気付かなかった?)チェックの手続きの中では、予備鍵の数であったり保管の状態であったり確認することになっていたけど、チェックの手続きをどう運用するのかという細かいルールの部分で、少し不十分な点がございまして今回の発見に至らなかった」
■信頼回復へ 再発防止策は?
補償開始すでに一部の被害者に補償を始めているという三菱UFJ銀行。そもそも、預金は通帳などに金額が記録されますが、貸金庫は銀行側も何が入っているか把握できないはず。被害金額をどう把握したのでしょうか。
三菱UFJ銀行リテール・デジタル企画部 山下邦裕部長「(Q.貸金庫は通常、現金ではなく不動産とかの書類とかを入れることが多いが、時価の金額の算定は?)今回、約60人の被害に遭われたお客様に関しましては、被害に遭われた内容としては、詳細は捜査の関係で申し上げられないところもあるが、現金とその他、物品ということになっております。物品に関しましても、もちろん思い出の品であるとか、非常に貴重なものということでありますが、そういったものをいったん時価としておいた上で、それで総額として概算で時価十数億円相当という形で、いったん開示させていただいております」
信頼回復のため、どう再発防止をしていくのか。今後は、スペアキーを店舗ではなく本部で一括管理する方針です。
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