「原子力発電所の新増設やリプレース(建て替え)を見据え、企業財務を強化したい」。こう強調するのは、関西電力の森望社長(62)だ。
関電は東日本大震災以降、福井県内で7基の原発を再稼働した。ただし、営業運転開始から40年以上が経過している原発もあり、中長期的に原発の運用を続けるには新増設やリプレースの検討が必要となる。
11月に実施した最大3794億円規模の公募増資の狙いも「(次の)原発に備えるという長期的な視点に立った判断。大きな投資に耐えられるようにする」ことだという。
一方で「原発1基をつくろうとすると1兆円かかる。50~60年かけて(コストを)回収しなければならず、経営の重荷となる可能性もある」とも指摘。政府に対し「国が一定程度のリスクを低減させる制度が必要だ」と求めた。
原発から出る使用済み核燃料を巡っては、処理方法など課題が山積している。関電は中国電力と共同で、山口県上関町に「中間貯蔵施設」の建設を検討しており、11月にはボーリング調査の掘削作業を終えている。今後の見通しに関し「中国電力の人員支援などの要請に対応している」と述べるにとどめ、具体的な言及は避けた。【小坂剛志】
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