「教育・子育てにも科学的根拠(エビデンス)は必要」「費用対効果の高い教育を」
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そんなメッセージを読者に投げかけた『「学力」の経済学』(ダイヤモンド社)は37万部のスマッシュヒットに。
そして11日、その“続編”とでも呼ぶべき新刊『科学的根拠(エビデンス)で子育て 教育経済学の最前線』(ダイヤモンド社)が発売。既に多くの読者を得ている。
『ABEMAヒルズ』は著者である慶應義塾大学の中室牧子教授に話を聞いた。
中村教授は新刊執筆の経緯について「『教育・子育てにもエビデンスを』というメッセージは一般的になったが、最近は様々な領域でエビデンスという言葉が『自分の主観を補強するための都合のいいデータ』になってしまっている。そこで、一線を引いて、国際的に非常に信頼性の高い子育てに役立つエビデンスを改めて届けたいと考えた」と語った。
書籍では、子育てについて幅広く扱っているが、ここでは「将来の収入を上げるために、子どもの頃にやっておくべきこと3つのこと」について掘り下げる。
1.スポーツをする
「スポーツをする『環境』が子どもの成長に良い影響を与え、忍耐力・自制心が身についたり、チームワークを学べる。パデュー大学 ジョン・バロン教授らの調査では、アメリカの高校で課外活動としてスポーツをしていた男子生徒はスポーツをしていなかった同級生と比べ、高校卒業後11年〜13年後の収入が4.2%〜14.8%も高くなることが明らかになった。ちなみに、スポーツが収入に与える効果は男子よりも女子の方が大きいという。そして、スポーツに限らず吹奏楽に関しては非常にポジティブな研究が多く、体力・非認知能力だけでなく学力・IQも上がるという研究もある。加えて美術・音楽についても認知能力に良い影響を与えているいう研究がある」
2.リーダーになる
「米・UCSBピーター・クーン教授らの研究によると、高校時代にリーダー経験がある人はそうでない人と比べ、高校卒業11年後の収入が4〜33%も高くなるという。ちなみに、女性の方がリーダー経験の“賃金プレミアム大”との推計もある。高校を卒業して11年となると管理職になるかどうか、というタイミングだ。教育の効果はすぐ出るとは限らず、大人になった時にあらわれることがある」
「また一方で『リーダーシップは後から身につけられるスキルだ』という研究もある。実際にリーダーシップの役割を順番で回している大学の生徒はリーダーシップスキルが高くなっている。リーダーシップは天賦の才能でもなく、人格者だけに与えられた仕事でもなく、誰でも身につけられるものなのだろう」
3.非認知能力を高める
「中年期に重要になるのが非認知能力だ。これは忍耐力や自制心、やりぬく力、好奇心のことを指す。ある意味当たり前のことだが、忍耐力や自制心は仕事において大事であり、決めた目標を最後までやり抜く力も然りだ。また好奇心を持って新しい事業や新規顧客開発に取り組むことも大切であり、誰もがこれらの力がある人と一緒に働きたいと思うのではないか」
「ちなみに、認知能力と非認知能力は強く相関しており、忍耐力や自制心、やり抜く力が強い人は学力が高い傾向にある。『認知能力と非認知能力、どっちが鶏でどっちが卵か?』という問いはあるがやはり『非認知能力は学力を上げるが、その逆は見られない』と明らかにしている研究もある」
(『ABEMAヒルズ』より)
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