欧州中央銀行(ECB)は12日、定例理事会を開き、主要政策金利を0・25%引き下げることを決めた。利下げは3会合連続。欧州経済はドイツを中心に力強さを欠き、2025年1月には高関税政策を唱える米国のトランプ次期大統領の就任を控える。収束の兆しが見える物価上昇(インフレ)よりも景気の下支えを優先する姿勢を一段と強めた。
ECBは市場が注目する指標である、民間銀行が資金を預ける際の中銀預金金利を3・25%から3%へ、民間銀行が資金を借り入れる際の主要金利を3・4%から3・15%へとそれぞれ引き下げた。
欧州連合(EU)統計局によると、11月のユーロ圏20カ国の消費者物価指数上昇率は前年同月比2・3%となり、10月の2・0%からわずかに上昇したものの、目標とする2%に近い水準で推移している。
一方、7~9月期の実質域内総生産(GDP)は前期比0・4%の増加にとどまった。ECBは、インフレ再燃のリスクは低いとみて、経済の下支えを優先することにしたとみられる。
また、ECBのラガルド総裁は11月、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビューに対し、トランプ氏の高関税政策をきっかけに各国が高関税で応酬し合う「貿易戦争」になれば、「米国、欧州のほか誰にとっても利益にならない」と、世界経済全体に悪影響を及ぼすと指摘した。トランプ氏就任以降の経済情勢が読みづらいことも、連続利下げの判断に影響した可能性もある。【ブリュッセル岡大介】
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