米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)は10日、自動運転タクシー事業から撤退すると表明した。競争激化やコスト高が理由。子会社のGMクルーズをGM本体の技術チームに統合し、タクシーではなく自家用車向けの自動運転技術の開発に経営資源を集中させる。
GMは声明で「クルーズの自動運転タクシー開発に今後は資金を投じない」と事業から撤退する考えを明言した。「競争が激化する一方、事業規模の拡大に多大な時間と資源が必要になることを考慮した」と理由を説明している。撤退により、年間10億ドル(約1500億円)の支出を抑制できるという。
代わりに注力するのが、一般ドライバーがハンドルを握らなくても安全に動かせる自動運転技術だ。GMの20車種以上に搭載されている先進システム「スーパークルーズ」の開発に、クルーズの技術者と資金を振り向ける考えを示した。
GMは2016年にクルーズを買収。カリフォルニア州などで実際に運転手のいないタクシーを走らせる有料サービスを展開していた。米メディアによると、事業展開のため、これまでに100億ドル(約1兆5000億円)規模の資金を投じたという。
だが、23年10月にカリフォルニア州で人身事故を起こし当局から営業停止処分を受け、全米で有料サービスを取りやめた。24年7月には、自動運転タクシーの専用車両「クルーズ・オリジン」の開発凍結も決めていた。
クルーズにはホンダも出資しており、GMと組んで26年に日本で自動運転タクシー事業を開始する計画だった。GMの撤退により、ホンダの経営戦略にも影響しそうだ。
米国では、グーグル親会社のアルファベットが運営するウェイモが自動運転タクシー事業を拡大。トランプ次期大統領と親しいイーロン・マスク氏が率いるテスラも、10月に自動運転タクシーの試作車を公開し、26年の生産開始を目指している。【ワシントン大久保渉】
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