3年前に社長に就任し、破産直前に独断で経営権をファンドに1円で売却した人物が、その裏事情を初めて語りました。
■「破産をしたかった?」上田氏の答えは…
単独インタビュー この記事の写真9日に番組の単独インタビューに答えたのは、破産直前の今年9月まで船井電機の社長を務めていた上田智一氏(51)です。
上田氏「(Q.なぜ取材に応じた?)1円譲渡(売却)という話が世間で今問題になっています。それをきっちり私の口からぜひ説明させていただきたいということで、弁護士の先生にもご同席いただいてお時間いただきました」 船井電機が破産
経営権を1円で売却、前社長が語った理由とは…。今年10月、突然破産が発表された老舗AV機器メーカーの船井電機。本社の食堂で、従業員らに解雇が言い渡されました。
2021年、船井電機は出版社に250億円で買収され、経営再建に向けて社長に就任したのが上田氏でした。
上田氏「事業というのはやはり時代に即応して変わっていかないと、どんなに昔にもうかっていても潰れますから、僕はそれをよく分かっていますので。ですから、一番の赤字のテレビ事業にきちんとけりをつけるというのが、自分の代表としての一番大事な仕事だったと思っています」 多額の赤字
しかし、上田氏が就任後も年間70億円近くの赤字が出ていたテレビ事業の売却に時間がかかり、経営は逼迫(ひっぱく)。上田氏は今年9月に退任し、同じ時期に船井電機の経営権をファンドにたったの1円で売却。破産が決まったのは、そのおよそ1カ月後でした。
上田氏「(Q.上田さんは破産をしたかった?)全くありません。テレビ事業の売却のめどもついていましたし、かなり体制もスリムになって、新しい事業で船井電機を再生していこう」
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■1円譲渡は不自然? 実質1円ではない?■1円譲渡は不自然? 実質1円ではない?
元役員、不正使用かしかし、創業者一族の元取締役に破産申請されていた船井電機。上田氏によると、子会社の金を元役員が不正に使い込んでいる痕跡を発見し、警察に刑事告訴して実態解明に動いていた矢先だったといいます。
加藤弁護士に聞く上田前社長の代理人・加藤博太郎弁護士は次のように述べます。
加藤弁護士「(金を使い込んだ)他の役員の責任追及、刑事責任の追及を行った時に、(創業者一族の)解任された取締役が会社を破産させてしまったというところで、不正の追及をさせないために破産させたのではないかということが、強く疑われているというところであります」 1円譲渡
では、会社を1円で売却した理由については…。
上田氏「(Q.1円譲渡は不自然では?)今回、私が船井電機の代表だった間に、約68億円の個人保証をしています。ちゃんと68億円の保証も(買い主に)引き受けてもらうと。であるがゆえに、1円ですということをお伝えしたかったなと思います」
「(Q.実質1円ではない?)おっしゃる通りです。怪しいということは当てはまらない」
上田氏によると、船井電機の借金や上田氏が個人で保証していた債務も引き継ぐ約束をしたうえでの売却だったと話しました。ただ、その契約もまだ履行されていない段階だと主張します。
上田氏「今の段階では、1円で会社を買い手(ファンド)が持って行っただけと。個人保証が外れていないという状況になっています」 加藤弁護士
「社長は全くもうかってなくて、1円で会社を取られちゃったという話」 ファンド関係者のコメント
番組は事実を確認するため、売却したファンド側の関係者を取材しました。
ファンド関係者「上田社長側に1円しか払っていないのは事実です。債務保証は責任がある部分については引き継ぐ準備があるが、(元取締役から)破産申し立てが出たことで、すべての計画がおかしくなっている。今は裁判所の結論を見届けたいと考えている」 裁判所に申し立て
先週、船井電機の原田会長は「破産するまでには至っていない」として、破産の取り消しと民事再生法の適用を裁判所に申し立てています。
(「グッド!モーニング」2024年12月10日放送分より)
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