全国知事会が入る都道府県会館=東京都千代田区で2024年9月21日午前10時38分、山下俊輔撮影

 自民党、公明党、国民民主党の協議が大詰めを迎えている「年収103万円の壁」引き上げを巡り、毎日新聞が全国47都道府県の知事を対象にアンケート調査をしたところ、引き上げ自体への反対は「ゼロ」で、半数近い21人が「賛成」と答えた。税収減を懸念する一方で、人手不足解消や住民の所得向上などによる経済活性化に期待する意見が強いことが浮き彫りになった。

 アンケートは11月下旬~12月上旬、47知事を対象に実施し、全てから回答を得た。「壁」の引き上げについては21人が「賛成」、25人が「どちらとも言えない」と答え、「反対」はなかった。東京は賛否の質問には無回答で「国の議論を注視し、効果や影響を見極めていく」と記述回答した。

 賛成理由では「県民の所得が増加し、人手不足の解消にもつながる」(群馬)や「賃上げ、人材確保、物価高対策に資する」(徳島)など経済的な効果に期待する声が多かった。

総合経済対策について合意書を交わし、握手をする(左から)国民民主党の浜口誠政調会長、自民党の小野寺五典政調会長、公明党の岡本三成政調会長=国会内で2024年11月20日午後2時41分、平田明浩撮影

 ただし、賛成した21人のうち「減収に対する国の対応が明確にならない以上、『条件付き賛成』だ」(山梨)、「地方財政に影響が生じない前提であれば賛成」(大阪)など、多くが地方の税収減への対応がとられる必要性を明記した。

 「どちらとも言えない」の25人では、「経済活性化への寄与が期待できる一方、国の財政措置の方針が見えていない」(愛媛)、「所得増や労働力不足解消が期待できる一方で、適切な財源保障がされなければ地方財政に与える影響は甚大」(茨城)などの意見が出た。

 「年収の壁」引き上げについては、自公が物価上昇率に基づく案を示す一方で、国民民主は1995年からの最低賃金の上昇率に基づき、課税水準を103万円から178万円に引き上げるべきだと主張している。

 政府は国民民主の要望通り引き上げると、地方税である住民税が約4兆円減収すると試算。ほかに国税である所得税を原資とする地方交付税も1兆円強減る計算になるとしており、各地の首長が財政上の懸念を表明している。【遠藤修平、安部志帆子、源馬のぞみ】

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