2日未明の外国為替市場で対ドルの円相場が急騰し、一時1ドル=153円00銭をつけた。米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利の据え置きを決めた後、短時間で4円以上円高・ドル安が進行した。政府・日銀が円安の加速に歯止めをかけるため、3兆円規模の円買い・ドル売りの為替介入に踏み切った可能性が高い。4月29日も5兆円規模の介入を実施したとみられ、相次ぎ介入に動いた形だ。
日銀が2日公表した当座預金残高の資料を分析したセントラル短資によると、市場の事前想定よりも残高が大幅に減少する見込みとなった。同社の高浜陽介氏は「今回も3兆円規模の介入があった可能性が高い」としている。財務省幹部は毎日新聞などの取材に「足元の水準や動きにコメントすることない」とした。
市場では2日未明に円相場が一時急騰した後、再び円売りが優勢となるなど乱高下した。午後5時時点は前日と比べ2円40銭円高・ドル安の1ドル=155円48~51銭で取引された。
FRBは連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を5・25~5・5%に据え置くことを全会一致で決めた。FRBが金融政策を発表した2日午前3時(米東部時間1日午後2時)前まで、円相場は1ドル=157円台半ばで推移していた。だが、FRBのパウエル議長の記者会見後の午前5時ごろから、円が急速に買い戻された。
政策金利の据え置きは2023年9月以降、6会合連続。FRBは会合後に発表した声明文で「ここ数カ月、2%のインフレ目標に向けた一段の進展が見られない」と明記し、インフレの沈静化が難航していると認めた。
パウエル議長は記者会見で「インフレ率が2%に向かって低下していくとの確信を深めるまで、利下げは適切ではない」との従来の見解を踏襲。「『確信』を得るには、以前考えていたより長い時間がかかりそうだ」と述べ、利下げ開始が遅れるとの認識を示した。
市場では米国のインフレ圧力の根強さを受け、「米国で高金利が続く一方、日本では低金利が続く」との観測から、ドルを買って円を売る動きが活発化し、円安が加速する可能性があった。市場では「値幅が動かしやすい時間帯を狙った介入だ」(国内証券)との指摘が出ている。
円相場は4月29日、一時1ドル=160円台まで円安が加速。直後に急騰に転じ、市場関係者による日銀の当座預金残高の分析によると、政府・日銀が5兆円規模の円買い・ドル売りの為替介入に踏み切ったとみられる。【竹地広憲、ワシントン大久保渉】
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